スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「GPU」についてです。

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スマートフォンに搭載されるプロセッサは、一般的な演算処理を行うCPUに相当する部分を核として、各種のコントローラやメモリなどを統合したチップ(SoC、System on Chip)であることが一般的です。描画処理を担うGPU(Graphics Processing Unit)も、スマートフォンではSoCに組み込まれていることが大半です。

GPUは、パソコンでは3Dグラフィックを高速かつ美しく描画するために利用されてきましたが、現在では他の用途にも活用されています。通常の描画(2Dグラフィックス)を高速化させることや、CPUだけで行ってきた演算処理の一部を受け持ち、システム全体の負荷を分散させることがGPUの重要な役割となっています。

そのような機構を(GPUの)ハードウェアアクセラレーションといい、スマートフォンでもさかんに活用されています。操作したときの小気味いいレスポンスは"サクサク感"などと表現されますが、そのサクサク感はCPUからGPUに負荷分散させることで実現されている部分も大きいといえます。

なお、スマートフォン向けGPUの多くが「OpenGL ES」をサポートしています。OpenGLは3Dグラフィックスの描画を行う命令セット(ライブラリ)で、携帯電話/スマートフォン向けに軽量化したものがOpenGL ESです。バージョンが大きいほど新しく多機能なため、より高性能なGPUを必要とします。OS側のサポートも必要で、最新版のOpenGL ES 3.0を利用するためには、Apple A7(GPUはPowerVR Series 6)を搭載したiPhone 5s、GPUにMali-T604やAdreno 320を搭載したAndroid 4.3以降が動作するAndroid端末が必要です。

Android端末のなかには、開発者オプションとしてGPUハードウェアアクセラレーションをオン/オフできるものもあります

(記事提供: AndroWire編集部)