2015年初めての更新になります。本年もiPhoneを中心としたAppleにまつわる情報をレポートしていきますので、よろしくおつきあい下さいませ。

さて、今回は、iPhone 6から新たにサポートした「Wi-Fi Calling」(以下、Wi-Fi Callsと表記)という機能についてだ。日本では利用できない機能として以前、紹介したことがあるが、米国でもiPhoneで利用できるのはT-Mobileのみだ。

筆者が米国でのキャリアをT-Mobileに乗り換えたため、この機能が使えるようになった。そこで、Wi-Fi Callsについて詳細と、iPhoneでの挙動について、紹介していこう。

T-Mobileへの乗り換え

2014年末、筆者が米国で使っているiPhoneのキャリアを、米国最大手のVerizonからT-Mobileに乗り換えた。理由は月々の料金や利用できるデータ通信量などを考えてのことだった。同じ条件なら半額、さらに夫婦2人月額100ドルでデータ無制限(Unlimited)というキャンペーンにつられた格好だ。

T-Mobileのウェブサイト。Uncarrier戦略に沿って、契約の縛りなし、低料金、データ超過の料金なし、などキャリアの常識を一つずつ壊している

T-Mobileはドイツテレコムの子会社で、米国では第4位のキャリアだ。プリペイド系のサービスを主体としてきたが、スマートフォン化に伴ってポストペイ(月額料金制)への移行を急速に進めている。戦略は最大手Verizonと2位AT&Tから顧客を奪うことだ。

そのため「Uncarrier」という戦略を展開している。最も大きなコンセプトが、他社がユーザーを2年間ずつ縛ってきた契約形態を撤廃することだ。ユーザーは本来、いつでも自由にキャリアを選べるべきで、その世界を率先して実現する、というのだ。失うものがないキャリアならではの戦略だ。

この戦略にはバージョン番号がつけられており、Uncarrier 4.0は他社から乗り換える際に他社の早期解約金(ETFと呼ばれている)を負担すること、Uncarrier 5.0はiPhoneを無料で貸し出してネットワークを試せること、そしてUncarrier 6.0は音楽ストリーミングサービスはデータ量にカウントしないといった展開を行ってきた。

これまで米国のケータイキャリアが行ってこなかったサービスを次々に打ち出している、「アメリカで最もホットな携帯ネットワーク」というわけだ。