Uncarrier 7.0とWi-Fi
T-MobileのUncarrier戦略の第8弾が、Wi-Fiルーターの配布だ。筆者も含む新規契約者は、T-Mobileのロゴが入った「ASUS TM-AC1900」という、IEEE 802.11 acまで対応するルーターを無償で受け取ることができるようになった。
察しの良い方はすぐに分かると思うが、家庭や職場にWi-Fiルーターが増えることによって、T-Mobileのネットワークの負担は軽減される。データ通信がWi-Fiに逃げるためで、その分屋外向けの設備投資の速度を緩めることができるからだ。
ソフトバンクも、fonのルーターを無償で配布していた時期があったが、両社とも、設備投資の速度とWi-Fiルーターのコスト、ユーザー体験を天秤にかけた結果の戦略と言える。
確かに、家にいるときは、LTEの電波だろうがWi-Fiだろうが、ユーザー体験にはあまり関係ない。日本の場合はむしろ、速度が速くなって快適なくらいだろう。残念ながら米国の家庭向けの回線は遅いため、筆者の自宅ではT-MobileのLTEの電波の方が、上りの速度は4倍ほどのスピードが出る……。
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ネットワークへの不安視もあったが、筆者の自宅ではVerizonのLTEと同等のスピードが体験でき、上りの速度はVerizonの倍。自宅のケーブルテレビのインターネットと比較すると、上りは実に4倍以上だ |
少し詳しくT-Mobileの戦略を紹介したのは、Appleが米国の企業だからだ。iPhoneは日本、欧州でも同じように販売されているが、地元でかつ最大の市場となっている米国の様々な環境をよく観察しながらゆっくりと歩みを進めているからだ。
通信についても、必ずしも世界最先端の仕様を追いかけ続けているわけではないことは、2007年、日本では高速化された3G通信が当たり前、という中で、初代iPhoneを2Gモデルとしてリリースしたことからも、わかるのではないだろうか。
もちろん、iPhoneを販売しているキャリアの中でT-Mobileの米国での影響力は最も小さいと言えるが、ユーザーの動向やニーズを探る上で、あるいは導入する携帯ネットワークの仕様や新サービスをチェックすることが、一つのベンチマークにもなるのだ。