MCXとの関係

競合サービスという意味では、MCXの「CurrentC (カレンシー)」にも注意しておきたい。MCXはWal-Martなど複数の小売り大手からなる業界連合で、MCX内で共通の支払いシステムやポイントカードシステムなどを導入し、決済システムの導入コストや相互運用性を高めることを狙いとしている。POSを大量導入する大手小売店にはコスト削減効果があり、比較的小規模な小売店は投資体力のなさを協業でカバーできるメリットがある。

MCX発足のもともとの発想は「Win-Win」だ。だが、Apple Payのローンチ以降、MCX加盟店で同サービスの決済を拒否する残念な事例が出てきている。Apple Pay自体は普通のPayPassやpayWaveの決済リクエストのため、本来であればカード情報が通らないことはない。そのため、MCX加盟店がApple Payのリクエストを認識して意図的に弾いている可能性が高いと考えられている。明確な理由は説明していないものの、Apple Payが「CurrentC」の競合サービスだから、その受け入れを拒否したのだろうか?

これに関して、筆者は2つの理由があると考える。1つは投資回収目的で、前述のようにMCXを作ってCurrentCを開発し、その導入が始まりつつあるということは、すでに膨大な投資を行っていることを意味する。そうしたなかでApple Payに話題をさらわれた場合、CurrentCのローンチに大きな影響を及ぼす可能性がある。