iPhone 6/6 Plusの目玉機能のひとつが「Apple Pay」だ。ここでは、複数回に分けて、Apple Payに関する素朴な疑問に答える形で、情報を整理してみたい。今回は、「Apple Payとおサイフケータイ(FeliCa)との違い」について。
Q. Apple Payとおサイフケータイ(FeliCa)との違いは?
Apple Payで利用される「Type-A/B」と「FeliCa」は、利用周波数が13.56MHzと通信面で共用となっている。Type-A/Bが定義される「ISO/IEC 14443」はICカードの規格の1つで、特に非接触ICカードのセキュリティに関する仕様が定められている。もともとFeliCaも、ISO/IEC 14443としての提案が行われていたが、最終的に規格競争に敗れるなかで国際標準から外れて日本独自仕様に近い形となったという経緯がある。
「Type-A/B」と「FeliCa」では、実現される機能は似ているが、ICチップを使った通信に互換性はなく、このため規格の異なるICカードと読み取り機では互いに認識できない。つまり、現在日本中に展開されているFeliCaベースの読み取り機ではApple Payのカード情報を読み取れず、別途、Type-A/Bに対応したインフラを展開し直す必要があるわけだ。
現在、このFeliCaとType-A/Bの両方の技術に対応した非接触通信装置を搭載するPOS端末の開発が進められており、2015年以降の順次展開を目指しているという話も聞く。だが、POSの刷新コストは高いため、どの程度の期間をもってType-A/B対応へと完全に切り替わるかは不透明だ。
一方で、POSレジに接続する形でType-A/Bの読み取りが可能な専用カードリーダーのほか、「mPOS」と呼ばれるタブレットやスマートフォンを決済端末にして磁気カードや非接触カードを読み取れる仕組みも利用が広がっており、POSの刷新サイクルを早める効果が期待される。
mPOSの先駆者的存在であるSquareなどは、従来の磁気カードに加えて、ICカードの統一規格となるEMV対応の読み取り装置を発売しており、さらに来年以降に向けてApple Pay対応すべくNFC対応も検討しているようだ。