ハードウエアは無難に進化、攻めにくかった2014年

ハードウエアの新製品は全体的に順当で無難な強化という印象を受けた。それにはよんどころない事情もある。IntelのBroadwellの開発が遅れ、今年のMacはHaswell Refreshをベースにした製品のアップデートに止まった。iOSデバイス用のAプロセッサも、20nmプロセス製造のA8のベンチマーク結果はA7に比べると際立った伸びではない。大きな前進はプロセス技術で前進が望める次世代に期待すべきなのだろう。そうした基盤技術の停滞もあって、今年はハードウエアの前進がスローペースになるのを避けられない年だった。

薄く軽量になってフルサイズタブレットの使い方を変えたiPad Air、キーノートでは「さらにタブレットをより良いものにするには?」という流れで、6.1ミリという世界最薄「iPad Air 2」を発表した。iPad Airよりも1.4ミリ薄く、32グラム軽い。ただ「より良いタブレット」というのは誤解を生みそうだ。「より良いiPad Air」、もっとスリムになったiPad Air改と見なされるべきだと思った。初めてフルサイズタブレットを購入する人、第4世代以前からのiPadの買い換えには間違いなくお勧めできるが、iPad Airユーザーの多くは買い換えを悩むだろう(それでも筆者はiPad Air 2を予約した)。

世界最薄、しかし世界最薄は世界で最も使いやすいタブレットなのか? そこが気になる

筆者はiPhone 5Sユーザーであり、個人的にiPadの指紋認証センサー「Touch ID」搭載は大歓迎である。AppleにとってTouch IDは、戦略的な機能という意味合いも含む。エンタープライズ市場の開拓を進めるiPadに、端末を簡単にセキュアにする機能は不可欠だ。米国ではApple Payの提供も始まった。Touch ID対応アプリも増えている。