"It's Been Way Too Long"イベントで発表されたiPadやMacの新製品には、順当で無難な強化という印象を抱いた。私たちのライフスタイルを変えてくれるような提案に欠けたという落胆の声も聞こえてくるが、それにはよんどころない理由もある。それにキーノートを通じてライフスタイルを変えるような提案がなかったのかというと、OS X Yosemiteの登場で実現したiOS 8との密接な連携は、私たちに新たな体験をもたらすものである。
iOS 8とYosemiteでクラウドの全貌が見える
筆者はまだiPhone 6/6 Plusを買っていない。でも、満足している。予約開始日に悩みに悩んでiPhone 6 Plusの予約ボタンをポチらず、それからApple Storeで6 Plusの大きさを目の当たりにして安堵したから……ではない。OS X Yosemiteのベータ版を試していたからだ。9月にiOS 8がリリースされ、iOSデバイスとMacが連動するContinuityの一部が使えるようになってからApple製品の便利さが一変した。iPhone 6はまだ買っていないけど、iPhone 5SとMacをiOS 8とYosemiteにアップグレードしただけで新しいデバイスに改めたような便利さの向上、満足感……、それが2014年のAppleを物語っている。つまり、今年はAppleのプラットフォームが新しくなった年なのだ。ハードウエアは二の次である。
AppleがiOSデバイスとMacを結びつけ始めたのは2011年だ。OS XライオンでiOSの特徴をOS Xに取り込み、iCloudというクラウドのハブを用意した。今年、iOS 8とYosemiteで実現したiOSデバイスとMacの連動は3年以上におよぶ取り組みの成果なのだが、これまでのようなiCloudを介したデータ同期とは連携の度合いが異なる。データ同期は連携が生み出す便利さの一面でしかない。一つずつピースを組み合わせてきて最後にYosemiteというピースを入れ、全てが揃ってバ~っと全貌が現れたような、そんな新しい体験がiOS 8とYosemiteで開ける。