Yosemiteはライフスタイルを変える提案
"It's Been Way Too Long"イベントは、その変化を上手く伝えられるかに注目しながら見ていた。そこに点数を付ければ50点ぐらいではないだろうか。Yosemite最終版の登場で最後のピースが埋まるというような盛り上がりにはならなかった。話題はハードウエア製品に集まり、しかも終了してから、ハードウエア新製品は無難にスペックを引き上げただけで、私たちのライフスタイルを変えてくれるような提案に欠けたという落胆の声が聞こえてきた。それは的を射た指摘なのだが、ではライフスタイルを変えるような提案がなかったのかというと、そんなことはない。iOS 8とYosemiteが生み出す連携は、私たちに新たな体験をもたらす。
たとえば、MacのPagesで文書を作成し始めると、iPadのロック画面に通知がうにゅっと現れて、そのままiPadで作業を引き継げる。こんな体験は他のプラットフォームでは味わえない。その価値が広く評価されるようになるまでにはしばらく時間がかかりそうだが、いずれiOSとOS Xの連携が当たり前になった時に、これまでのiOSデバイスとMacを一緒に使ってみたら「使いづらい……」と思うはずだ。もう前には戻れない不可逆な変化、言い換えると"革新"である。
革新性と閉塞性が混在したAppleのアプローチ
ただ、見方を変えると、この体験はAppleプラットフォーム限定である。iPhoneユーザーにMacを、MacユーザーにiPhoneやiPadを買わせ、両方持ってるユーザーにはそのままiOSデバイスとMacに買い換えさせるのが大きな狙いであるのは言うまでもない。いろんな意味で「閉じたApple」の本領発揮であり、批判も浴びるだろう。
その点「モバイル優先、クラウド優先」なMicrosoftは、iOSやAndroidにも無料でOneNoteアプリを提供するなど、Windowsに限らず異なるプラットフォームや異なるデバイスで広く同社のサービスやソフトウエア製品を使用できる施策を展開し始めた。より濃い体験をひたすら追求してプラットフォームにユーザーを囲い込むAppleと、柔軟に手広くユーザーを満足させるMicroosft。クラウドをハブにする時代に変わって、AppleとMicrosoftの対照的なアプローチ再びである。