より薄くなり、機能強化も図られたiPad Air 2

まずはiPad Air 2からだ。シルバー、スペースグレイにゴールドというラインで展開する。ボディはアルミニウムを使用し、ユニボディ構造に仕上げている。前面部分の縁取りは高級時計を思わせるポリッシュ仕上げとなっている。筆者が手にしたWi-Fi+Cellularモデルでは本体上部にアンテナを埋め込むため、そこの部分だけ異なるパーツが使用されており、これは後から紹介するiPad mini 3も同様の仕上げである。一体構造の美しさを堪能したいならWi-Fiモデルをチョイスすることをお勧めするが、iPad Air 2は外に持ち出したくなる薄さと軽さが売りでもある。Wi-Fi+Cellularモデルとどちらかを選ぶか悩ましいところだ。

iPad Air 2

その薄さと軽さだが、本体サイズはW240×H6.1×D169.5mmとなっている(ディスプレイサイズは9.7インチ)。厚さ6.1mmというのはAppleによれば、世界最薄とのことで、2010年に発売された初代iPadの半分以下になっている。重量はWi-Fiモデルが437g、Wi-Fi+Cellularモデルが437gだ。手にとってみると、やはり軽い。さほど手の大きくない筆者でも片手で楽々ホールドできる。しかし、高級感を損ねている感触はせず、リジッドと言うか頑丈そうな印象を受ける。

前面部分のエッジは高級時計を思わせるポリッシュ仕上げ

薄く、軽くするために、特にディスプレイ部分は設計が見直されたようで、「フルラミネーションディスプレイ」という新しい構造が採用されている。カバーガラスとタッチセンサー、LCDという各層のギャップを除去しているのだが、これにより薄く、軽くなるだけでなく、各層間で生じていた光の反射がなくなり、より良い画質、より鮮やかな色をより優れたコントラストで表現できるようになった。反射防止コーティングも施されており、屋外で使用する場合に、とても視認性が高くなっている。また、タッチのポイントの精度、反応の速度も上がっているようだ。『Paper by FiftyThree』や『Notability』のような手書き文字入力アプリを使ってみたところ、指の動きに書いた文字がぴったり付いてくるので驚いた。先日、札幌国際芸術祭に駆け込んで、お土産用にLOUIS VUITTONとのコラボスカーフを買ったりしたのだが、その際、クレジットカードで買い物して、iPhone(5s)にサイン書こうとしたら上手く書けなくて、これサインとして認められるものなんだろうか、みたいなことになってしまった。今後、さまざまな店舗でiPad Air 2を導入してくれたら、そういうこともなくなるだろう。

Notability

Paper by FiftyThree

心臓部となるCPUは、第2世代の64bitアーキテクチャとなるデスクトップクラスの「A8X」を搭載。これまた初代のiPadと比較すると12倍の向上とのことだ。グラフィックスは初代iPad Airの2.5倍になっているが、初代のiPadと比較すると180倍パフォーマンスが向上しているらしい。12倍とか180倍と言われても良くわからないと思うが、iOSの新しいグラフィックAPI「Metal」に対応したゲームをプレイしてみると、その実力を感じ取ることができるのではないだろうか。筆者は『Replay』というビデオ編集アプリを使ってみてどれくらいのものだろうなのかチェックしてみたのだが、トランジションやエフェクトがさくっとかかるのを見て、おおっと、唸ってしまった。

ビデオ編集アプリ『Replay』でハードな作業をさせてみた。さくっとエフェクトがかかって驚く

また、バッテリーライフは最大10時間ということで、よほどキツい作業を強いるのでない限り、一日大丈夫だろう。ここも外に持ち出したくなるポイントのひとつと言えよう。

続いてカメラ機能をチェック。メインのiSightカメラ、サブのFaceTimeカメラともに改良が加えられている。iSightカメラは8メガピクセルのセンサーを搭載。バーストモードにタイムラプス、スローモションビデオ(120fps)をサポートするようになった。とりあえず作例をご覧頂きたい。幅広い撮影が可能になったことが分かるだろう。

タイムラプスでの撮影
スローモションビデオでの撮影。iPad Air 2では1秒間に120フレームの撮影のみに対応

バーストモードでのスチール撮影。1秒間に10カット撮れる

FaceTimeカメラも新しいセンサーを搭載。f2.2レンズで従来より81%多く光を取り込めるようになったという。顔検出機能に露出コントロール、タイマーモードにも対応しているから、セルフィー(自分撮り)にも、もってこいだ。

カメラに関しては、写真や映像を楽しむだけでなく、アプリと組み合わせることによって、ドキュメントスキャナとして利用できたり、スポーツのコーチング用の解析ツールにもなったりする。幅広いシーンで活用できるので、是非App Store内で探してみて欲しい。検索機能の「Spotlight」もiTunes Store内のコンテンツを検索できるようになったので、目的に応じたアプリを見つけやすくなっている。

通信面では802.11acまで対応。866Mbpsをサポートするので、AirDropで大きな映像などを転送するなら、Lightningケーブルで送るよりも早く作業できそうだ。Wi-Fi+Cellularモデルは20のバンドに対応しているので、海外旅行に持っていきたくなる。キャリアアグリゲーションに対応している地域なら最大150Mbpsの速度で通信可能だ。

そして今回、リクエストが多かったという指紋認証機能「Touch ID」がホームボタンに搭載された。ロックの解除はもちろん、App Store、iTunes Store、iBooks Storeのコンテンツを購入するのも指一本で行える。これはものすごく便利だ。うっかり買ってしまうものも増えそうだが。また、『Evernote』や『1Password』など保護されたアプリへのサインインでも利用できる。指紋登録の際、ホームボタンに指を置いて指紋を認識するのだが、機能がないので、iPhoneのようにバイブレーションで確認するようにはなっていない。

ホームボタンに搭載された指紋認証機能「Touch ID」