Appleが今秋にも発表を予定しているといわれる次期iPhoneについて、ディスプレイに従来のガラス素材ではなくサファイアガラスを採用するというのが数々の噂で規定路線となっている。だが現状の疑問はサファイアガラスの採用そのものよりも、「サファイアガラスを搭載するのは、2種類あるiPhoneのうちのハイエンドモデルのみなのか?」「今年発表のモデルで本当に搭載されるのか?」という展開モデルや登場時期に関する点にある。

iPhone 5以降はリアカメラのレンズ部分などのサファイアガラスが採用

サファイアガラス採用に関する最初の噂は、今年2月に9 to 5 Macが報じたものだ。昨年2013年にGT Advancedというサファイアガラスの製造会社が米アリゾナ州メサに大規模な工場を建設しており、同月にも稼働を開始しているというものだ。

もともとサファイアガラスはiPhone 5以降はリアカメラのレンズ部分に、iPhone 5sではTouch IDのボタンカバーに採用されるなど、iPhoneでの採用そのものは珍しいものではない。ただしディスプレイ全体を被うカバーのような大型のものとなると話は別で、「必要量を確保できるのか?」「大型サイズのサファイアガラスを採用してコスト的に割に合うのか?」といった疑問が呈されるようになった。

今回Wall Street Journalが8月14日に報じた話によれば、GT Advanced TechnologiesがAppleへのサファイアガラスのサプライヤになる点については同上で、アリゾナ工場はAppleが昨年1億1300万ドルでソーラーパネル工場から購入したものをGTにリースする形で提供しているという。

さらに5億7800万ドルの資金を投じて最新鋭の機器を同工場へと搬入しており、サファイアガラス製造だけで実に7億ドルもの巨額投資を行っていることになる。工場の敷地サイズはフットボール球場の20倍以上のサイズにあたる140万平方フィートで、工場がフル稼働すれば、現在世界の100の工場が製造するサファイアパネルの2倍の製造量に達する見込みだという。

外販出来る規模のサイズである可能性が高いが、実質的にApple向けの専用工場に近い位置付けになるとみられる。予測する範囲で、フル稼働時は上から下までAppleのすべての製品ラインナップでサファイアガラスを採用する可能性が出てくる。

ただ、WSJによれば、Appleが採用するのは今年リリース予定の2種類のiPhoneのうちハイエンドモデルのみで、しかも必要数量が確保できた場合という限定条件つきだ。またサファイアガラス加工にかかるコストを考えると、本体価格を値上げしない限りAppleの利益率が削られるという関係者らの話を紹介している。

同様の話題では、MacRumorsもYouTubeにアップロードされた「4.7インチサイズのiPhone 6といわれる製品のフロントパネル」をヤスリで削るという動画を基に、サファイアガラスを採用していない可能性を指摘している。

iWatchなどと呼ばれるAppleのウェアラブルデバイスにおいても採用が噂されるサファイアガラスだが、実際にフルラインナップに展開されるまでにはまだまだ時間がかかる可能性が高い。その意味では生産が安定し、数量を確保できる来年2015年以降の製品の楽しみになるのかもしれない。