じゃあなぜ携帯電話を?

「ライフラインです。だから、通信手段として以上の意味は必要ないのです」

しかし、通信手段だというなら、スマートフォンでもいいのでは? あえてガラケーにこだわっているのには他にも理由がありそうだが……。

「まずガラケーの方がバッテリーの持ちがいいですよね。放置するだけだと1週間近くもちますし、私はバッテリーの予備も持っているので、1ヶ月くらいは平気です。それと、今日話をしながら思ったことですが、今までの生活スタイルを変えたくないという気持ちがあるのかもしれません。仕事がつねに新しい情報を入れないといけない内容なので、逆にそれ以外の部分ではルーティーンで回していく方が心地良いのかも。でももし将来的にガラケーがなくなって、スマホしかない世界になったら、それはスマホにしますよ」

なるほど。なんとなくEさんがスマホに替えない理由が見えてきた。最大の理由は、スマホだからこそできることや便利になることのほとんどが、Eさんの生活に必要ないということ。筆者としては「いらない機能でも別についている分には構わない」のだが、Eさんは「いらないものはいらない」というタイプなのだ。

それにしても、話を聞いていると、なんだか自分がすごくダメ人間になったような気がしてくる。仕事に出るときの事前準備の話や、人間関係にSNSは必要ないという話などは、たしかにその通りだなと思わされた。まぁ、だからといってガラケー時代に自分がEさんと同じようにできていたかというとそんなことはないのだけど……。

なんだか自分自身まで「スマホ別にいらないかも?」と思い始めてしまった取材になったのだった。

(記事提供: AndroWire編集部)