収束するどころか、ますます深刻さを増すPM2.5による大気汚染。中国・北京では今年1月16日、大気汚染レベルを示す指数が、一般的な表示の上限を超える状態が市内中心部の計測地点各所で計測され、最も重大な汚染度を示す「ブルー」の警報が発令された。海を隔ててお隣の日本への影響は今年も避けられず、引き続き注視が必要だ。そこで今回は、すぐに実践できるPM2.5対策をご紹介したい。

外出時はマスクで口と鼻の防御を完璧に

まずは外出時の対策から。空気中を飛散する環境汚染物質PM2.5は、当然ながら屋外での活動中に最も影響を受ける。粒子状物質は主に人の呼吸器系に沈着して健康に影響を及ぼすため、体内に取り込まないことが第一。呼吸器系への侵入経路は、やはり口と鼻から。PM2.5の吸引を避けるには、外出時にはマスクの着用が必須だ。

ちなみに、PM2.5というのは、大気中に浮遊する微粒子のうち粒子径が2.5μm(マイクロメートル)以下のものと定義されている。スギ花粉が約30μm、黄砂が約4~7μmとされるので、いかに小さな物質であるかがわかるだろう。それだけにいったん肺などの呼吸器系に取り込まれると排出されずに沈着し、長期間の吸引により、肺気腫などの呼吸器系・循環器系疾患となるリスクが高まることが疫学調査で明らかになっている。

そのため、花粉よりも小さな微粒子の吸引を防ぐためには、素材や着用方法などによっては完全には防御できない。確実に防ぐには、対応したマスクを選ぶことが大事だ。現在、流通しているマスクの中では、N99またはN95と呼ばれる規格のものがこれにふさわしい。それぞれ、0.1~0.3μmの微粒子を99%以上、95%以上遮断する性能を持ち、選ぶ際にはこの規格を目安にするとよい。PM2.5対策として有効な商品は次の2製品だ。

  • モースダブルプロテクション(エースインターナショナルジャパン)

最高峰のN99に対応したマスク。4層構造の医療用マスクで、2層目と3層目に米国で開発されたN99対応の特殊フィルターを採用し、静電気で微粒子を誘引する加工が施されている。レギュラーサイズとミディアムサイズ(婦人用)、スモールサイズ(子供用)の3種類を展開。

  • 三次元高密着マスク(コーワ) 

N95規格に相当するフィルターにより、0.1μm以上の微粒子を99%カット。左右上下にプロテクターを配備し、顔への密着度を高め、隙間からの侵入を防ぐ。ふつうサイズから小さめの女性用、子供用サイズの3種類が揃う。

「モースダブルプロテクション」(エースインターナショナルジャパン)。S、M、Lの3サイズ展開。直販サイトの価格は12,600円(1袋5枚入り×16個)

「三次元高密着マスク」(コーワ)。ふつう、女性用、こども用の3サイズで、メーカー希望小売価格は各580円(5枚入り)

掃除機はゴミ捨て時の利便性を考慮して紙パック式を選ぶ

PM2.5対策で次に大切なのは、室内の清掃。2.5μmという目には見えづらい小さな微粒子は人体や衣服などに付着して、知らず知らずのうちに室内へも持ちこんでしまう。屋外ほど危険性は高くないが、塵も積もれば……である。部屋の掃除はこまめにしておきたい。

「S 6340 ハミングバード」(ミーレ)

現在、掃除機の主流は吸引力が変わらないことでサイクロン式が人気だが、PM2.5対策目線で見た場合の掃除機選びは、実は紙パック式に軍配がある。くまなく掃除をする上で吸引力というのはもちろん重要だが、それ以上に排気、またゴミ捨ての際の使い勝手というのは考慮すべきポイントだ。

その点に注目してオススメなの製品が、ドイツの家電メーカー・ミーレの紙パック式掃除機「S 6340 ハミングバード」。同製品の特筆すべき点は、ダストパックにある。2枚の静電気フィルターをはじめ、素材違いの特殊多層フィルター9層から成り、細かなゴミやホコリをしっかりキャッチ。さらに「モーター保護フィルター」、「エアクリーンフィルター」と呼ばれる排気フィルターと、計11層のフィルターで吸い込んだ微粒子を極力外に逃さない構造になっている。また、付属の排気フィルターは0.3μm以上の微粒子を99.95%以上捕集する性能だが、オプションで別売りされている「アクティブHEPAフィルター」に交換すれば、0.16μmのものまで捕集可能だ。ダストパックは、集塵室を開けると同時に弁が自動的に閉まる仕組みで一度吸い込んだゴミを極力外に漏らさず処分できる。

空気清浄機のフィルター掃除は本末転倒?

そして最後に欠かすことができないPM2.5対策として挙げられるのが、空気清浄機の設置だ。掃除機でいくらマメに掃除していても、除去できない微粒子はある。また、非常に小さく軽いPM2.5は常に空気中を舞っている。部屋に設置しておくだけで、そういった物質を常時クリーンにしてくれるのが空気清浄機の存在だ。中でもオススメなのが、スウェーデンのメーカー・ブルーエアの空気清浄機だ。

空気清浄機の専業メーカーとして知られる同社の製品は、国内メーカーに多く見られる加湿機能やイオン発生機能といった付加機能を一切搭載しないのが特徴。複合型の空気清浄機と比べてお得感が薄いが、空気清浄という本来の性能に関しては、世界標準とされている米国家電製品協会(AHAM)が定める「CADR(クリーンエア供給率)」でも最高値を獲得したお墨付きの商品。CADRとは、空気清浄機が1分間あたりに供給する清浄な空気の量を表した指標で、清浄スピードの高さが実証されているということである。また、空気清浄性能を示すのに他社が「HEPAフィルター」というフィルター自体が微粒子を捕集できる性能を用いているのに対し、同社の場合は「HEPA Silentテクノロジー」と呼ぶ、フィルター+空気清浄機の構造や仕組み全体で空気を浄化する能力を謳っている。つまり、機器全体として発揮できるような構造でなければ意味がない。たとえフィルターの目が細かいだけでは、捉えた微粒子で目詰まりが起こり、集塵に必要な風量が低下することになってしまう。そこで同社の商品では、静電気で帯電させて効率よく微粒子を捕集し、目の粗さが異なる3層構造のフィルターを採用するなど独自の仕組みによって、高い空気清浄能力の維持が図られているのだ。

「ブルーエア650E」

実際、同社の日本での販売元であるセールス・オンデマンドが第三者機関に依頼して行った調査では、同社の製品「ブルーエア650E」を約60m3(16畳相当)の試験部屋に、0.1μmのPSL粒子を散布して除去率を測定したところ、約20分で93.2%を除去できるという結果を叩き出し、PM2.5に対する高い清掃能力が示されている。

また、もう1つ特筆すべきは、同社の空気清浄機のフィルターが半年ごとの交換式である点。「10年交換不要」を謳うメーカーが多い中、異例だが、掃除機の場合と同じで、捕集した物質を改めて掃除機などで手入れするのは、PM2.5除去という本来の目的を考えれば本末転倒と言えなくもない。せっかく集めた汚染物質を再度飛散させてしまうもとになるのだ。そういう意味で、フィルターが使い捨てというのは理屈に適っていることなのだ。かと言って、汚れた状態のフィルターを放置してそのまま使い続けることの意味のなさは言うまでもないどころか、逆に汚染を広げてしまう恐れがあるので注意したい。

日本ではPM2.5濃度の基準値として掲げられるのは、1m3あたり1日平均で70μg(マイクログラム)。これを超えると予想される場合は、必要でない限り外出は自粛し、屋外での激しい長時間の運動を避ける、肺や心臓に病気のある人や高齢者、子どもは特に慎重に行動する……など注意喚起が行われる。PM2.5が日本に飛散しやすいのは、偏西風の影響を受けやすいこれからの季節、日本気象協会などが発表する飛散予報を確認し、PM2.5対策を怠らないようにしたい。