「メインストリーム」への投入
本稿でも何度か触れているが、VAIO Fit 13Aには、Fit 15A、Fit 14Aといったが兄弟機がある。
ここにきて機種数を絞り込むPCメーカーが増加しているなか、同じデザインの製品を、ディスプレイのインチ数を変えて3機種展開するのは異例ともいえる。
佐藤氏は、「モバイルノートという点で新たな構造に挑戦するといった取り組みは一般的だともいえる。だが、Fitというブランドを付けるからには、ホームノートPCとしてメインストリームとなる領域にも展開しなくてはならなかった」とする。
15.5型のFit 15Aは、1TBのハイブリッドハードディスクを搭載。最上位モデルでは、2880×1620の超高精細ディスプレイを採用し、ソニーの高画質技術の強みを表現してみせた。
また14.0型のFit 14Aは、モバイルユーザーに対するエントリーポイントを下げるという意味からラインアップしたものであり、ここにも、メインストリームの製品に位置づけている同社の姿勢が示されている。
「最も売れると考えているのは、15A、そして13A。14Aは日本では店頭モデルでは1機種だけの品揃えとなっているが、手ごろにモバイルノートPCを手に入れたいというユーザーへの提案になる。また、海外では14Aが売れるとみている地域もある」という。
一方、VAIO Fit 13AではUltrabookの仕様に準拠している。
「当初はUltrabookにこだわったわけではなかった」と佐藤氏は明かすが、「モバイルPCとしての要素を追求する上で、Ultrabookの仕様と合致するものが多かった。途中から、ターゲットをUltrabookの仕様に定めた」とする。だが、ホームノートPCを目指したFit 14AおよびFit 15Aではその枠に入らないと判断し、Ultrabookの仕様は意識しなかったという。
もうひとつ、VAIO Fit 13Aでは、最新のWindows 8.1ではなく、Windows 8を搭載している点も注意しておきたい。これはVAIO Fit 13Aだけでなく、ソニーが発売した2013年秋冬モデルの多くに共通したものである。
その点をソニーでは、次のように説明する。
「Windows 8からWindows 8.1へは、ユーザー自身が無料でアップデートできるようになっていること、また、いち早く、この製品の市場投入を考えた際に、Windows 8を前提に開発した方が最適だと考えた」(佐藤氏)とする。
VAIOには、ビジュアル関連ソフトを含めて独自ソフトウェアが数多く搭載されており、これらをWindows 8.1で検証しなくてはならず、発売時にすべてのソフトウェアをWindows 8.1対応として搭載できるかどうかといったリスクも考えられたといえよう。とくに、この秋冬モデルでは、「VAIO Inspiration Stream」を搭載しており、そうした新たな挑戦のためには、Windows 8対応で先行したいという思いもあっただろう。
だが、実際にはそうした問題は回避されている。そして、Windows 8.1に対応したドライバも提供する体制を整えている。
「Windows 8環境を勧めるというものではない。ユーザーは、Windows 8でも、Windows 8.1でもどちらでも好きな方を使ってもらいたい。どちらも安心して利用できる環境を提供している」とする。