使う人の顔が浮かばないPC

VAIO Fit 13Aの試作機

こうしてみると、VAIO Fit 13Aは、その斬新な変形デザインとは裏腹に、伝統的なクラムシェル型ノートPCを前提に開発されたことがわかる。

「VAIO Fit 13Aはどんな人が使うのか、と問われたときに、その顔が浮かばないような製品になればと考えている」と本石氏は語る。尖った製品を多く揃え、それが求められるVAIOにおいては異例の回答かもしれない。

その意図を、本石氏は、「PCという道具が欲しいと思う多くの人に使っていただき、日常に自然と存在するような役割を果たせば、VAIO Fit 13Aは成功だと思う」とする。

佐藤氏も、「ターゲットを絞らない製品がVAIO Fit 13A」と異口同音に語り、「こうした新たなスタイルが標準となり、他社が追随するようになれば、VAIO Fit 13Aは成功した製品に位置づけられることになるだろう」と話す。

VAIO Fit 13Aは、明らかにソニーらしい製品だ。そして、その斬新なコンセプトはやはり「尖っている」と感じる。しかし、ソニーでは、これを標準とする。そこにソニーのVAIO事業の強さがあるのだろう。VAIO Fit 13Aは、VAIO事業の強さを証明する製品といえはしまいか。