ちなみに、今回の作例はほぼ31点ライブ多点(ポイント指定)+サーボAFで撮影。AFポイントをあらかじめ指定して構図を決めておきたかったので、タッチシャッターはオフに設定した。実はタッチシャッターも試したが、通過する車両の鼻っ面に一週を逃さずタッチするのは、機械がどうこう以前に私が不可能だ。コンテュニアスAFもオフ。これはコンテュニアスAFによるアシストなしでのAF速度を実感したかったためと、バッテリーの消耗を抑えたかったからだ。

驚くほど静かで迷わず、切れるようなピント精度。それがEOS M2のAFについての正直な感想だ。標準ズームのEF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STMを初めとするSTMレンズは、フォーカス時にまったく音がせず、きわめてスムーズかつ快適。カメラもしっかりとピントを合わせ続けてくれるので、通常の撮影はもちろん、流し撮りもストレスなくおこなうことができた。念のため書き添えておくが、作例は単にリサイズをおこなっただけで、ほかは一切手を加えていない。これ、ヘタな一眼レフより、よほどラクに撮れるんじゃないの?

こうなると、もうちょっと試してやろうかと思うのがレビュアーの底意地の悪さだ。陽がだいぶ西の空に傾いた頃合いを見計らって、再びEOS M2を持ち出してみた。光量低下に加えて日陰や西日の逆光など、結構な悪条件下での撮影だ。にも関わらず、撮影結果はご覧のとおり無問題。ピントはもちろん、露出もヘンに暗部を持ち上げたりせず、撮影時の雰囲気を良く再現している。

低照度下ではピントが間に合わないこともまれにあるが、それでも歩留まりは8割をキープしていたと思う。AFが速いぶん、むしろレリーズタイムラグの方が気になることが多かったほどだ。しかしながらEOS M2のレリーズタイムラグは、メーカー公式リリースで0.05秒。これはEOS 70Dの0.06秒より短いほど優秀だ。今回は試用機の未調整部分だったか、もしくは電車という被写体の動きの速さゆえ、相対的に目立ってしまったのかもしれない。いずれにしても、EOS M2のAFは電車の動きも十分にとらえる性能があるといえる。

図を決めて東急8500系を後追い。シャッタースピードは1/1,000秒

同じく8500系を1/100秒で流し撮り。シルバーボディーは撮影が難しい

東急50000型。アルミ合金ボディが反射で飛んでしまったが、AFの捕まえっぷりは見事。1/250秒

小田急ロマンスカー60000形MSE「あさぎり」。本当はもう少し早めにシャッターを切ったつもりだったが……

小田急ロマンスカー60000形MSE「あさぎり」を逆光で後追い。この状況でも1/500秒でガッチリとらえる

30000形EXE「はこね」。こちらは1/1000秒。乗務員の顔までわかる

15時半近くになり、ほとんどが日陰に。低めの視線で小田急2000系車両を狙う

3000系車両を後追いで流し撮り。乗務員を止めることができた。シャッタースピードは1/40秒

8000系車両をいい位置で止めたつもりが、ややレリーズが遅かったようだ。しかし、ピントは気持ち良く合焦している

東京メトロ6000系。日没寸前の逆光状態にも関わらず、金属臭がしそうなまでの質感描写に目を奪われる

【左上】わざと、引き付けすぎるほど引き付けて撮影してみた。だが、しっかりと合焦している。これは驚き! 【右上】小田急ロマンスカー7000形LSE「はこね」。やはりロマンスカーといえばこの形! 【左下】16時を過ぎ、そろそろ撮影も限界。去りゆく8000系のテールランプが郷愁をそそる