EOS M2の最も大きな進化が新しいAFシステムだ。撮像面位相差AFとコントラストAFをを組み合わせた「ハイブリッドCMOS AFII」を採用、その合焦速度は、ファームアップしてAF性能を改善した後のEOS Mと比べても、およそ2.3倍(ワンショットAF、ライブ多点AF、「EF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STM」使用、焦点距離55mmでの撮影時)。というのがメーカーリリースだ。
そこで今回は、EOS M2の実際にAFがどれほど速く、正確なのかを試してみることにした。被写体は電車。被写体との距離が近く相対速度が速いうえに、奥から手前、手前から奥へと3次元的に移動することもあって、AFが得意とする被写体ではない。置きピンが基本といわれる鉄道写真において、EOS M2の新AFシステムがどこまで頑張れるか見ものだ。
なお、今回お借りした機材は調整中の要素を含んでおり、製品同等の最終版ではない(ただし、AF性能は製品同等)ことをお断りしておく。よって、画質等に関してはここでは評価しないことをご了承いただきたい。
さっそく使用感について書きたいところだが、その前にEOS M2のAFについて、もう少しだけ説明しておきたい。EOS M2は、撮像面位相差AFとコントラストAFを組み合わせたハイブリッドCMOS AFIIを採用した、と先に書いた。撮像面位相差AFとは、撮像のズレをAFセンサーで検出して合焦する方式。おもに一眼レフで使用される位相差AFをミラーレス用に応用した技術で、位相差AFセンサーを撮像素子に組み込んでいることからこう呼ばれる。速度が速く、動く被写体にも強いのが特長だ。
一方、コントラストAFは撮像の中でもっともコントラストが強い場所を検出して、そこにピントを合わせる方式。コンパクトデジカメや従来のミラーレスカメラで使用されている技術で、速度より精度面で有利とされている。つまり、ハイブリッドCMOS AFIIは、速さと正確さを兼ね備えているのだ。ただし、「II」という名称からも察しが付くとおり、このシステムには先代「ハイブリッドCMOS AF」があり、EOS Mにも搭載されていた。ただし、ハイブリッドCMOS AFエリアはライブAFエリア(視野の縦横約80%)に対して面積比で1/6ほどしかなく、これが中央に配置されていた。しかし、IIではライブAFエリア同等まで広がり、より使いやすくなっている。
EOS M2のAF方式は、「ライブ1点AF」「顔認識+追尾優先AF」「31点ライブ多点AF」の3つ。それぞれ画面タッチによるポイント指定に対応している。その場合、31点ライブ多点ではエリアを9つに分け、1つのゾーンをタッチで指定できる(絞り優先AEやシャッタースピード優先AEなど「応用撮影ゾーン」使用時)。
各AF方式は「ワンショットAF」と「サーボAF」に対応。加えて「コンテュニアスAF」のオン・オフが設定できる。なお、普通「コンテュニアスAF」というと、シャッター半押しでピントを合わせ続けてくれるAFモードを指すことが多いが、キヤノンの場合、レンズを向けるだけでピントを合わせ続ける、いわゆる「フルタイムAF」を指すので注意。シャッター半押しでピントを合わせ続けてくれるのは「サーボAF」となる。