国内外のトップレベルの放送機器、映像機器、音響機器、照明機器、IPTV、Mobile TV、クロスメディア、周辺アプリケーションやソリューションが一堂に会する音と映像と通信のプロフェッショナル展「Inter BEE 2013」(2013年国際放送機器展)が、千葉市・幕張メッセにおいて開催された。本レポートでは、主にイベント会場のプロオーディオ部門から気になるブースをピックアップし、ハイレゾ、ネットワークオーディオ、デジタルワイヤレス、モバイルなど最新トピックを反映したオーディオ関連製品を中心に紹介していこう。

千葉市・幕張メッセにおいて開催された「Inter BEE 2013」会場の模様。プロフェッショナルのニーズに応える最新製品と業界情報をリアルタイムで体験できる貴重なイベント

メディア・インテグレーション

数多くのソフトウェアやハードウェアを扱うメディア・インテグレーションブースでは、オーディオプラグインの老舗メーカー「Waves」と「DiGiCo」、「Soundtracs」の3つのプレミアムブランドが結集した注目の新ブランド「DiGiGrid」が国内初披露された。DiGiGridは、ネイティブDAWやProTools HD/HDXシステムに、Ethethernet接続により高品位オーディオインターフェースと、外部プラグインプロセッシングパワーを拡張するソリューションであり、ホームスタジオからライブステージまで多彩なシーンにベストフィットする自由度の高いシステム構成が可能となっている。さらに、ハードウェアとしては、自社開発のハイエンドマイクプリ「Sym・Proceed」をはじめ、EVE Audio、Earthworksなどの実機展示も行われていた。

日本初公開となった「DiGiGrid」は、Waves SoundGridプラットフォームをベースにしたプラグイン・プロセッシングと、ネットワークオーディオの新しいソリューションを提供する

エレクトリ

エレクトリブースでは、サウンドクリエイターから高い人気の誇るKRKの最新小型モニタースピーカーシステム「RP5 G3」などを出展。LFアジャスト機能を追加し、ラウンド形状をさらに進化させた新たなフォルムから生み出されるナチュラルなサウンドが魅力の製品だ。さらに、スタジオユースなアウトボードの定番メーカー、SPLの16チャンネル入出力に対応したMADI-AD,DAコンバーター「Madison」、ハイクオリティのプリアンプとフル機能を搭載したモニターコントローラー、USBインタフェースを1デバイスに統合した「Crimson」(Model 1250)も実機展示された。高いサウンドクオリティーに加え、使い勝手の良い大型ボリュームノブや視認性・操作性に優れたボタン類、質感の高いボディーデザインなども大きな魅力といえそう。

KRK、SPL、Peluso Microphoneなど多彩なメーカーの最新製品が一挙登場したエレクトリブース。Apple製品の親和性の高い「ONE for iPad & Mac」、「Symphony I/O」などのApogee製品の展示なども行われた

ティアック

放送業務仕様機器の展示を中心に、設備用音響機器、音楽制作機器などを取り揃えたティアック/タスカムブース。CDプレーヤーシステムCD-9010システム、ポン出し送出システムHS-4000/RC-HS32PDなどの放送局向け製品の展示のみならず、デジタル一眼レフ用X-Yステレオマイク「TM-2X」やデジタル一眼レフ用リニアPCMレコーダー/ミキサーなどのトレンドにマッチした製品も多数登場。また、スタンドアロンマイクプリアンプ/USBオーディオインタフェース「UH-7000」(発売時期・価格未定)、マスタークロックジェネレーターも参考出品された。さらに、同社取扱の輸入ブランド、beyerdynamicの電波法改正に伴う特定ラジオマイクの周波数移行に対応した業務用UHFデジタルワイヤレスマイクシステム「TG 1000シリーズ」も話題の新製品だ。

ティアックブースでは、ホビーからビジネスまで幅広いユーザーに対応する製品をラインアップ。近年注目に浴びているデジタル一眼レフによるビデオ撮影のサウンド面を強化する製品へのニーズの高まりも感じられた

ヤマハミュージックジャパン

ヤマハブースでは、世界中で好評を得ているデジタルミキサー「CLシリーズ」との組合せ、Danteネットワークによる柔軟かつ容易なシステム構築が可能な「Ri8 / Ro8」、アナログ操作とデジタル処理を高次元で融合したミキシングコンソールの大型モデル「MGP32X / 24X」などのプロオーディオ製品郡を展示。また、同社Steinbergブランドのハイエンドオーディオプロダクションシステム「Nuendo6」、およびプラットフォームハードウェア「NUAGE」、さらにコンパクトなUSB 2.0 オーディオインタフェース「UR44」なども展示された。なお、同ブース内では、デジタルオーディオネットワークの事例や、Steinberg各種ソフトウェアの実践テクニックを紹介するセミナーなども展開され多くのユーザーが参加していた。

最新USB 2.0 オーディオインタフェース「UR44」は、充実した入出力と可搬性を絶妙なバランスで両立。原音の忠実な再生をコンセプトするスタジオモニターヘッドホン「HPH-MT220」、「HPH-MT120」、店舗・施設用シーリングスピーカー「VXCシリーズ」などにも関心が寄せられていた

アビッドテクノロジー

アビッドテクノロジーブースでは、2013年9月の「IBC 2013」(IBC 国際放送展/会議)にて発表された、EUCON対応次世代コントロールサーフェス「S6」(近日発売予定)の実機がお目見えし、音楽制作およびポストプロダクションの各オーディオプロフェッショナル達から熱い視線を集めた。モジュール設計を採用した自由度の高いシステム構成、波形表示などさらなるビジュアル・フィードバックを実現した視認性および操作性に優れたユーザーインターフェイスは圧巻の一言に尽きる。また、ノンリニアビデオ編集ソフトウェア「Media Composer 7」、デジタル・オーディオ・ワークステーション「Pro Tools 11」、メディアアセット管理ソリューション「Interplay MAM」など、映像/音楽の制作ワークフローに欠かせない定番ツールの最新バージョンや、サードパティ―による対応プラグインや周辺機器の展示スペースも設けられていた。

同ブースでは、コントロールサーフェス「S6」が初登場したほか、メインステージでは映画『スター・トレック イントゥ・ダークネス』制作チームスタッフによるデモンストレーションなども実施された