まとめと考察

ということで性能評価を中心にここまでお届けした。全般的にHaswellについて言えるのは、

  • 性能が上がっているとは言えない。むしろIvy Bridgeに比べて性能が下がっている場合もある。
  • 性能を上げるためには何らかの、これまでとは違った最適化が必要な可能性が高い。
  • 搭載されているIntel HD Graphics 4600は、確かにIvy BridgeのIntel HD Graphics 4000よりは高性能だが、すごく性能が上がったわけではない。今までは性能不足で困難だった幾つかのゲームがプレイ可能にはなるだろうが、過大な期待は厳禁。
  • 待機時の消費電力はともかく、稼動時の消費電力はIvy Bridgeとあまり変わらないというかむしろ増えている。

というあたりだろう。

なんでこんなことに、というのはちょっと想像できる。なんというか、これはAMDがBarcelonaコアを出したときにすごく良く似ている。Barcelonaの時は、FPUを128bit化するのにあわせてL1のData Pathだけを128bit化したら一気にバランスを崩した訳だが、Haswellは同じようにAVX2にあわせてData Pathを256bit化し、ところがこれが全然性能に反映されないという結果になっている。おまけに実行ユニットやスケジューラに手を入れた結果として最適化の方法が若干変わってしまい、従来のプログラムだとむしろオーバーヘッドが発生するようになってしまったのだろう。そして回路規模を増やした結果として消費電力は増えたわけだ。とはいえ、省電力を追求した結果として、消費電力の増分はそれほど多くなく、全体としてバランスを崩したとはいえ、破綻するというほどひどくは無いが。

では、その内部はどうなっているのか、を次にRMMAを使ってもう少し探ることにしたいと思う。(編集部注: 別記事にて後日、RMMAを用いたHaswell検証レポートを掲載予定です)

2013年6月21日追記: 追加検証を実施しました
【特集】「Haswell」完全攻略!! (追加検証) - 内部解析で第4世代Coreの真実にさらに迫る
http://news.mynavi.jp/special/2013/haswell2/