5月16日、17日の2日間、東京都千代田区の東京国際フォーラムにて「富士通フォーラム2013 東京」が開催された。

「Reshaping ICT, Reshaping Business and Society」をテーマに掲げた今回の富士通フォーラムでは、同社が描くビジネス/社会の近未来像とそれを支える技術の詳細が披露された。

本稿では、同イベント様子を簡単にご紹介しよう。

富士通フォーラム2013の様子

富士通フォーラム 2013 レポート

「富士通フォーラム 2013」のレポートを以下にも掲載しております。併せてご覧ください。

ICTの力でビジネスはこう変わる

PCやスマートデバイスから、サーバ/ストレージ、ネットワーク機器、さらにはクラウドサービスまで、ICT全般にわたって製品/ソリューションを提供する富士通。山本氏の基調講演『お客様とともに描く、これからのビジネスと社会 - Reshaping ICT, Reshaping Business and Society』では、そうした総合ベンダーだからこそ描ける、ビジネス/社会の近未来像が紹介された。

山本氏は講演の中で、ビジネスの大きな課題として、「スピード」、「複雑性」、「新たな価値の創造」の3つを列挙。それぞれに対してICTによる解決アプローチを説明した。

基調講演に登壇した山本社長

ビジネスをよりスピーディーにする革新技術

スピード面の解決策として最初に挙げられたのが垂直統合型プラットフォームだ。サーバ、ストレージ、ネットワーク機器に加えて、仮想化環境、OS、管理ソフトまでが1つの筐体に組み込まれた垂直統合型プラットフォームを提供することで、ビジネスの立ち上げを短縮できることを説明した。

続けて山本氏は、ビデオ会議、チャット、プレゼンス表示などの機能を備えた同社製コミュニケーション基盤についても言及。こちらの製品を活用することで、遠隔地の相手であっても適切なタイミングに適切なかたちでコミュニケーションできるため、商品開発やユーザー対応の高速化が期待される。また、「17万人の社員を抱える富士通社内でも使用している」ことを明かし、「他に例を見ない大規模利用で、さまざまなノウハウも得られている。それをお客様に還元し、ビジネスを支援していきたい」と同社の優位性も強調した。

意思決定の自動化、リスク低減に向けた取り組み

一方、複雑性に関しては、「意思決定支援」、「リスクマネジメント」をポイントとして挙げた。

意思決定支援では、金融機関のマーケティング活動において、ライフイベントを自動検知して適切な広告を表示した結果、投資/保険商品の成約率が10%向上したという例を挙げ、消費者ニーズの多様化にICTを駆使して応えていることを紹介。

リスクマネジメントでは、製造業において工作機械の稼働状況をモニタリングし、故障の予兆をアラートしていることを説明。部品交換などを未然に行うことで、"停めない"工場運営が可能であることを解説した。

また、高度化するサイバーセキュリティに対しても、「技術はもちろん、運用や組織の面からもユーザー企業をサポートしている」ことを説明し、外部の団体と連携したり、クラウド向けに「富士通クラウドCERT」を組織していることなどを挙げた。

ARを応用して工場設備のメンテナンス方法を説明

そして、新たな価値の創造では、「サービスモデルの革新」、「イノベーションへの新しいアプローチ」をキーワードとして挙げる。

サービスモデルの革新では、折込チラシの情報をアプリで提供する「シュフモ」を取り上げ、その裏で動くクラウド基盤までを富士通でサポートしていることを説明。

さらにイノベーションへの新しいアプローチという点では、工場の設備をタブレットのカメラで映すと修理方法などが画面上に表れる、ARを応用した技術などが披露された。

イノベーションという点ではほかにも、創薬の分野でスーパーコンピュータを使ってシミュレーションを行うことで効果を確かめるなど、新たな方法でものづくりを行っていること。世界中で提供されているLinked Open Dataを活用して、さまざまな分析を進めていることなどが紹介された。

これからの社会を支える5つの分野

一方、社会の近未来像という点では、「先進医療」、「次世代農業」、「地域活性化」、「震災復興支援」、「スマートシティ」の5つを挙げる。

先進医療では、シミュレーションをベースとした研究開発や、診療情報の共通プラットフォーム作りなどで貢献できるとし、次世代農業では、品質管理や植物プラントなどで生産および経営をサポート。地域活性化では、農業に地元情報を加えたナビゲーションサービスを提供している青森の事例などを挙げた。

震災復興支援でも、官公庁や地元の人々と共同で街づくりを進めているほか、スマートシティではサウジアラビアや会津若松市の取り組みを紹介し、エネルギー問題を解消しつつ、ICTを活用した豊かな街を作っていけることをアピールした。

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