新技術が多数披露された展示ブース

富士通フォーラム 2013の展示会場では、「Reshaping ICT, Reshaping Business and Society」を具現化する技術やソリューションが手に触れられるかたちで展示されていた。続いて、そちらを紹介しよう。

紙とデジタルを融合させる新デバイス

会場に入って最初に来場者を迎えたのが「ユビキタスフロント」である。ここには、基調講演の中で山本氏がデモを行った新デバイスが置かれていた。

「指先を使って直観操作」と題するブースに置かれた新デバイス

「指先を使って直観操作」と銘打って展示されていたこのデバイスは、紙の資料に対してPCのドキュメントと同じような処理を行えるようにする装置だ。デバイス上部には投影装置と2つのカメラが内蔵されている。投影装置によって紙面上に各種のメニューを表示。カメラによって指先の動きを読み取り、さまざまな操作を実現している。

デバイス上部に2つのカメラと投影機が搭載されている

操作はメニューをタッチするだけ

デモでは、指先で範囲を指定するだけで画像キャプチャを撮る様子や、資料上の文字を読み取り、予め登録しておいた関連動画や関連サイトを表示する様子を披露。テーブル上に3D画像を表示し、手の動きだけで回転させる様子も示された。

画面キャプチャの様子

パンフレットの文字を認識して関連メニューを表示

握った手の向きに合せて3D画像の向きも変わる

端末内でこのように手を認識している

見えない色で関連情報を埋め込み! スマホのカメラで関連情報取得

その隣では、スマートデバイスのカメラにディスプレイやスクリーンを映すだけで関連情報を取得できる新技術が展示された。

こちらの技術は、人間の目には見えないカラーデータでURLなどの情報をディスプレイやスクリーン、あるいは映像に埋め込み、それをスマートデバイスの専用アプリで読み取ることで関連サイトなどを表示するというものだ。

スマートデバイスのカメラで画面を撮影すると…

ページの読み込みが始まり…

関連サイトが表れる

見えないデータの表示は、PCであれば専用アプリをインストールするだけ。こちらの場合は、既存のドキュメントに何の手も加えることなく関連情報を埋め込める。一方、TVで表示する場合は、映像を制作もしくは配信する段階でデータを埋め込むことになる。手間は増えることになるが、ユーザーにおいてTVCMから関連サイトを訪問しやすくなるというメリットが生まれるうえ、配信側においてもTVCMの効果をインターネット広告のように分析しやすくなるといった利点がある。

カメラで映している画面に情報を表示することも可能

クーポンを配布するといった使い方も

世界中の公開データを体系化して提供

一方、「最先端のテクノロジー・プロダクト」では、SDN(Software Defined Network)やビッグデータなど、今話題のテーマを支える技術紹介された。

なかでも注目を集めていたのが、基調講演でも紹介された「Linked Open Data活用基盤」だ。こちらのソリューションは、世界中で公開されているLinked Open Dataをまとめあげ、好きな情報を抽出できるようにしたものになる。

Linked Open Dataの中には、各国政府/自治体がまとめた調査結果や、学会などで公表された論文、さらにはWikipediaのデータや、インターネットメディアが配信するニュースデータなどが含まれており、例えばニュース記事と株価の関係性を抽出したうえで自社の売上情報を組み合わせたチャートを作るといったことも簡単に行えるという。

Linked Open Data活用基盤の画面。データソースの関連性を表示している

各データソースの属性も確認できる

単語を入力すると、関連語と関連性が視覚化されて表示される

Linked Open Data活用基盤を活用したデータ分析アプリも開発中

Linked Open Data活用基盤では、約340サイトから約400億項目のデータを収集している。専用の検索インタフェースのほかAPIも用意しており、2013年中に無償公開する計画だという。

各種ソリューションを支える最新サーバ/ストレージ

最先端のテクノロジー・プロダクトでは、こうした新たな技術と併せて、性能の向上や管理機能の進化が激しい最新のサーバ/ストレージも紹介された。

最新プラットフォームの展示ブース

基調講演でも触れられた垂直統合型プラットフォームの例として、垂直統合型データベースシステム「FUJITSU Integrated System HA Database Ready」、垂直統合型 仮想化・クラウド基盤「FUJITSU Integrated System Cloud Ready Blocks」を展示。ハードウェア、ソフトウェアを基本設定済の状態で納品されるので運用開始までの期間を大幅に短縮できるうえ、チューニングされているため性能も高く、障害時の対応も容易とあり、多くのシステム管理者の関心を集めた。

また、仮想化対応ストレージ「FUJITSU Storage ETERNUS VX740」や重複排除/圧縮機能を備えたバックアップストレージ「FUJITSU Storage ETERNUS CS800」なども展示され、日々の運用を簡略化にする最新のインフラ技術に海外からの参加者も興味深く聞き入っていた。

垂直統合型システム「FUJITSU Integrated System」

仮想化対応ストレージ「ETERNUS VX740」などを搭載したラック

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昨年とは異なり、近未来に焦点を置いてビジネス/社会の新たな姿を提示したかたちとなった今回の富士通フォーラム。総合ITベンダーならではの強みが押し出され、経営者に対して今後の指針を示すイベントとなった。

そうしたソリューションの数々を支えるインフラ技術の詳細については、追ってレポートしていく予定である。そちらも楽しみにしていただきたい。