ある日、編集部のOさんから連絡がきた。
「明日9時、歩ける格好で日本橋に集合ね」
……。
Oさんといえば、これまでに数々の無茶な企画で私を困らせてきた編集者だ。そのOさんが目的を告げずに呼び出してきた。これは嫌な予感しかしない。
とはいえここでOさんにへそを曲げられて仕事の発注が減っては困るので、渋々付き合うことにした。それに、翌日はたまたま仕事が入っていなかったのだ。エスパーか。
――翌日。
日本橋には、先に到着したOさんが私を待ち構えていた。
……季節感を激しく間違えた愉快な格好で(4月某日。この日の最高気温は15度くらいだったか)。
実はOさん、「AQUOS PAD」の性能を試してみたくて私を呼び出したのだという。「AQUOS PAD」は2月に発売されたSHARP製のタブレット端末で、最大の特長は高画質でありながら省電力を実現したIGZO搭載ディスプレイである。IGZOという技術について説明すると長くなるので省くが、一言でいえばIGZOを積んだ「AQUOS PAD」は、バッテリーの消耗がめちゃくちゃに少ないタブレットなのだ。
そこでOさんは考えた。「AQUOS PAD」のバッテリーが切れるまで東海道を歩き続けたら、どこまで行けるのだろう――と。
そう、彼が企んでいたのは、"AQUOS PADを持って東海道五十三次"だったのだ!
なお、アロハに麦わら帽子、浮き輪持参という格好は、「ひょっとしたら海まで行けるんじゃないか」と思ってのことらしい。……ツッコまないぞ。