そして、iPhone 5も分解していただいた。藤澤氏は「iPhoneシリーズは非常にコンパクトにまとまっています。Androidスマートフォンの中には、部品間に隙間が空いててスカスカな印象のものもありますが、iPhoneはぎゅっと詰まって納まっている感じ。これはすごいことだと思います」と話した。

iPhone 5を分解しGALAXY Sと比較してみる。iPhone 5の中身は整然としており、美しかった

「中身をのぞいたとき、構造が一番美しいのはiPhoneです」という藤澤氏の言葉に、思わず納得する編集部。スマートフォンのサイズや重量は、各メーカーでそれほど違うものではない。各部品を1つ1つ見比べていっても、たぶんそこまで大きな差異はないだろう。それなのに中を開けて見たときの美しさには、明らかな差があるように思われた。アップル製品は、見えないところにまでデザインの美しさを要求しているのだろうか。

オシャレは見えないところから、とはこういうことか

ここで藤澤氏から、思わぬ提案。「私はGALAXY Noteを使っているんですが、開けてみますか」「え、良いんですか?」わずかこれだけの簡単なやり取りの後、藤澤氏は何のためらいもなく、私物のGALAXY Noteを分解し始めてしまった。申し訳なさと有り難さで、思わず頭が下がる。

左からGALAXY S、GALAXY Note、iPhone 5。たしかに、GALAXYシリーズの部品の配置には統一感がある

Sペンを入れてみた(写真左)。プラスチックの背面カバーを剥ぐとすぐそこに基板があるという事実に気が付く(写真右)

iPhone 5は背面カバーに基板がくっついている仕様で、分解する際はまずディスプレイ部分が外れる。基板のICチップも、がっちりとシールドで守られている。それに対して、Android端末ではディスプレイに基板が接着され、裏のバッテリーカバーから開けるタイプが多いという。ユーザーが任意でバッテリーを交換できるような端末の場合、こちらの方が都合が良いのだろう。iPhoneでは基板を守るシールドが存在したが、Android端末にはシールドが存在しない機種も多いようだ。

今回、初めてiPhoneとAndroid端末の中身を見比べさせてもらったが、「メーカーによってここまで違うものか」と感心してしまった。今さらながら不思議に思ったのは、あれだけ多くの部品を詰め込んでおきながら、どのスマートフォンも端末のほぼ中央で重心の釣り合いがとれているということ。各パーツの配置について、きっとメーカーの流儀というものが存在するのだろう。ひいては、それが「メーカー(シリーズ)によって中身には統一感がある」理由につながるのかも知れない。

藤澤氏によれば、ほんの小さなネジが1本ないだけでWi-Fiのつかみ具合が全く変わってしまう、というようなケースもあるという。どんどん薄くスリムになっていくスマートフォンだが、部品を1つ1つ見つめていくと、なかなか奥深いものがあると言えるだろう。