LINE、comm、カカオトークは、無料通話&チャットという根幹となる機能こそ同じであるものの、前述したように向いている方向は少しずつ異なっている。

あくまで現状からの予想にすぎないが、将来にわたって使うことを考えると、各社の展望を抑えておいて損はないだろう。

まずLINEだが、昨年タイムラインとホームが追加されたことからもわかる通り、SNSとしての機能を持たせて多角的に運営していこうという姿勢が見られる。最近ではゲームやクーポンなど、外部のアプリや企業とコラボした企画も多くなってきており、LINEはもはや無料通話&チャットアプリとは呼べない状態になりつつある。

おそらくLINEの目指すゴールは、「サマーウォーズ」のozのような、リアルグラフを中心とした巨大プラットフォームになることだろう。無料通話&チャット機能は、壮大な計画の第一歩だったということだ。事実、森川社長も「目標は生活のプラットフォーム」という言い方をしており、今後LINEはリアルとバーチャルの両方を呑みこみながら巨大化していくと予想される。

これが実現されるならすごいことだが、無料通話とチャットだけが目的のユーザーにとってはこのLINEの方向性はあまり歓迎できたものではない。手を広げるということは、それだけ無料通話とチャット機能の整備が遅れる可能性をはらんでいるからだ。実際、筆者の肌感覚ではあるが、タイムラインとホームを積極的に使っているユーザーはまだそれほど多くないように思う。

一方で、コミュニケーションに特化した姿勢を保っているのが残りの2社、commとカカオトークだ。特にカカオトークは5人同時通話や外部アプリ連携のトークPlau機能など、無料通話とチャットの機能改善に積極的である。

おそらく今後もしばらくはこの方向性で進化していくだろうから、無料通話とチャットが目的ならカカオトークを選ぶ意味は十分にあるだろう。

最後にcommだが、基本的にはカカオトークと同じくコミュニケーションのみに特化した運営を続けていくことになるだろう。現時点では最後発の3番手に甘んじているが、モバゲーを運営するDeNAのことだから、今後どんな飛び道具を用意してくるかわからない。実名制+コミュニケーション特化という姿勢に将来性を感じるならcommもありだと思う。

LINE、comm、カカオトーク――同じように見えて実はけっこう違うアプリだということがわかっていただけただろうか。様々な視点から、自分に最適の無料通話&チャットアプリを選んでほしい。

(記事提供: AndroWire編集部)