「m-Book P5300」を実際の使用感からチェック
冒頭でも述べた通り、筆者は雑誌やWebコンテンツ制作の仕事している関係で、日常的にAdobe Creative Suiteシリーズをよく使っている。今回は最新のAdobe Creative Suite 6を使って、「m-Book P5300」と一般的なノートPCを比較してみようと思う。比較したのは以下のスペックのモデルだ。
比較用ノートPCの主なスペック | |
CPU | Intel Core i7-3520M |
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メモリ | 8GB |
グラフィックス | Intel HD Graphics 4000(CPU内蔵) |
ストレージ | 256GB SSD+高速処理用SSD |
OS | Windows 8 64bit版 |
まず、Illustrator CS6で、アンカーポイントが非常に多く、グラデーションメッシュも多用している37.7MBのaiファイルを開いてみた。Illustrator自体は起動しておき、[ファイル]メニューからファイルを指定して開いた。ファイルについての詳細は、右記のドキュメント情報を確認して欲しい。
比較用ノートPCの場合、開くだけで11秒かかったが、「m-Book P5300」では5秒で開くことができた。また、このファイルの中で特に多くのオブジェクトを含むレイヤーの中身をコピーし、新規レイヤーにペーストしてみたところ、ノートPCでは8.5秒かかった。「m-Book P5300」では3.7秒で完了した。
また、Illustrator CS6を開いたまま、Photoshop CS6を起動し、同じファイルを指定して300dpiのA4サイズとしてラスタライズしてみた。こちらは比較用ノートPCで39.6秒かかったのが、「m-Book P5300」では16.3秒で完了できた。
こうしてみると、よく行う作業を単純に比較しても、全体的に2倍以上の速度が出ていることになる。特にPhotoshopでのラスタライズは2.4倍ほどの速度だ。
計測結果だけでなく、実際の使用感としてもはっきりと速い印象がある。たとえばアンカーポイントを多く含むオブジェクトを選択して軽く移動させるだけでも、何度か繰り返すと比較用ノートPCは処理の遅延が目立つようになる。ところが「m-Book P5300」ではそうした遅延はほとんど感じなかった。
CPUのコア数による違いも当然あるだろうが、Adobe Creative Suite 6が、NVIDIA CUDA パラレルコンピューティングアーキテクチャを上手く使いこなしている印象がある。このことはNVIDIAサイト内でもアナウンスされているが、Adobe Creative Suite 6の各エンジンはQuadro GPUに最適化されているということが、よく分かる結果だった。
もちろん、筆者の業種だけでなく、冒頭で述べたような3DCG制作やCADを使っているケースをはじめ、Adobe CS6 Premiere, After Effectsを使った映像編集用途などはもちろん、さらには科学、エネルギーといった分野で扱われるソフトウェアの多くが、Quadro GPUに最適化されている。ソフトウェアを挙げるには量が多いので、詳しくはNVIDIAのWebページ「NVIDIA ワークステーション GPU加速アプリケーション」を参照してほしい。
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