既報のとおりレノボ・ジャパンは18日、IdeaシリーズのノートPCやデスクトップPCなど、Windows 8を搭載するコンシューマ向けPCの新製品を一斉に発表した。これに合わせて都内で製品発表会を開催し、新製品を披露した。

発表会では主に、360度回転する特殊なヒンジの機構を採用した13.3型液晶搭載のUltrabook「IdeaPad Yoga 13」と、取り外し可能なキーボードドックを標準装備した11.6型のタブレットPC「IdeaTab K3011W」を中心として、製品の紹介が行われた。

IdeaPad Yoga 13

IdeaPad Yoga 13

4つのモードを使い分ける

レノボ・ジャパン IdeaPad製品担当 櫛田弘之氏

製品の詳細について説明を行った、レノボ・ジャパン IdeaPad製品担当 櫛田弘之氏は、「IdeaPad Yoga 13」の特徴について「ハイパフォーマンスなウルトラブック」「ノートパソコンの常識を覆す4つのモード」「新スタイルのノートブックを支える機能」の3つを挙げた。

まずはじめの「ハイパフォーマンス」に関しては、CPUに第3世代のIntel Coreプロセッサを搭載。Intel Core i5-3317U(1.7GHz)搭載モデルとIntel Core i7-3517U(1.9GHz)搭載モデルの2つをラインナップし、メモリはそれぞれ4GBと8GB、ストレージはともに128GB SSD、ディスプレイには13.3型のIPS液晶(1,600×900)を搭載し、「十分にメインのノートPCとして使える」(櫛田氏)だという。

「IdeaPad Yoga 13」の特徴

ちなみに店頭予想価格では、Intel Core i7搭載モデルが130,000円前後、Intel Core i5搭載モデルは120,000前後と、スペックと比べて価格面での差は小さく、相対的にIntel Core i7搭載モデルの方がお得に感じる値付けがされている。

「IdeaPad Yoga 13を買う方は、ハイエンドな製品が好きな方が多いのではないかと予想して、Intel Core i7搭載モデルをメインに据えたいという思いもあった」と櫛田氏はその意図を話す。

キーボードには、ThinkPadシリーズと共通のコンセプトで設計されたアイソレーションタイプのAccuTypeキーボード、インタフェースにはUSB3.0×1、USB 2.0×1、HDMI×1、カードリーダを搭載している。

アイソレーションタイプのAccuTypeキーボード

インタフェース類

続いて「IdeaPad Yoga 13」最大の特徴である、特殊なヒンジを採用した360度の回転機構による4つのモードについては、ディスプレイを開く角度によって「ノートブック」「タブレット」「テント」「スタンド」といったモードを使い分けて利用ができるという。

「ノートブック」と「タブレット」については、イメージしやすい。「テント」と「スタンド」について、まず「テント」は本体とディスプレイの縁を利用して、ディスプレイを立たせて使用する。通常ノートPCを利用するときには、製品に搭載されたディスプレイサイズ分の面積が必要だが、「テント」型で利用することで、机やテーブルのスペースが小さくてもPCを置くことができる。

「テント」

「スタンド」

「スタンド」は、PCの本体部分をタブレットPCのスタンドに見立てて利用する。「Windows 8を操作するときは、チャームの表示など両手があいていると便利な状況が多い。ひざの上にのせてPCを操作するときなどに、一番しっくりきたのがこのスタンド形式だった」と櫛田氏は自身の体験を交えながら、その利点を話した。

櫛田氏はひざの上で操作するときは「スタンド」がしっくりくるという

2つのヒンジで実現した360度回転

ディスプレイを開閉する頻度が多くなると、ヒンジの耐久性が気になる。特に「IdeaPad Yoga 13」は前述のとおり、利用シーンに合わせてディスプレイを異なる角度で開くためにヒンジのトルクが変化しないかなどが問題になる。

ヒンジについては、指で押しても簡単に倒れたりしないように「硬め」のトルク調整が施されており、数年使用してもトルクの変化がないという。25,000回の耐久テストをクリアしており、「例えば1日あたり5回から10回程度開閉したと想定しても、6年から7年は持つ」(櫛田氏)と説明する。

ヒンジのトルクは硬めに調整

上下に配置されたヒンジを使って360度開く構造

360度の回転は、上下に配置された2つのヒンジによって実現されており、閉じた状態から180度までは上のヒンジが、そこから360度まで下のヒンジが動くという機構になっている。

最後に「新スタイルのノートブックを支える機能」としては、まずIPS液晶ディスプレイの搭載を挙げる。IPS液晶は視野角が広いことが知られているが、左右だけでなく上下も含めて、どの方向から見ても画面がクリアに見えるため、例えば複数人でディスプレイをのぞき込むようなことがあっても、角度によって見え方が変化することはない。

また、ディスプレイを開いて利用するときは、キーボード面が底面(背面)となるが、誤動作を防ぐため、ディスプレイを180度以上開くと自動でキーボードの機能がオフとなる。キーボード面の保護に関しては、「タイピングによってかかる負荷の方がよほど大きい」(櫛田氏)として、特別に補強を行ってはいないという。

このほか、内蔵カメラの前で手を振るなどのジェスチャーで、音楽再生の曲戻り・曲送り、写真の戻り・送りが行える「Lenovo Motion Control」や、「OneKey Recovery」「Energy Management」といったレノボ独自のソフトウェアも搭載する。

着脱可能なキーボードドックを標準搭載したタブレットPC

レノボ・ジャパン IdeaCenter・タブレット製品担当 藤井宏明氏

続いて、レノボ・ジャパン IdeaCenter・タブレット製品担当 藤井宏明氏が、「IdeaTab K3011W」の製品説明を行った。

「IdeaTab K3011W」は、バッテリを搭載した取り外しのキーボードドックを標準で搭載する。キーボードは「IdeaPad Yoga 13」と同様に、アイソレーションタイプのAccuTypeキーボードを搭載する。

キーボードドックの上部にあるボタンを押しながら、ディスプレイ部分を引っ張るとタブレットPCとキーボードに分離する。

藤井氏は、「他社からも分離型の製品はあるが、デザイン面の考慮などからヒンジ部分にディスプレイが取り付けにくいものを見たことがある」と話し、「IdeaTab K3011Wは見た目は少し無骨だが、ガイド部分がしっかりと作られているので雑な動きで接続や取り外しを行ってもしっかりとはめ込むことができる。使いやすさを重視した製品となっている」という。

ディスプレイとキーボードドックが分離する

重量は本体側が約667g、キーボードドックが683g。本体とキーボードを合わせた重量は約1.350kg。CPUに「Clover Trail」世代のIntel Atom Z2760を搭載。バッテリ駆動時間は、本体のみで約8時間。キーボードドックに取り付けると約16時間という長時間のバッテリ駆動が可能となっている。

重量は本体側が約667g、キーボードドックが683g。本体とキーボードを合わせた重量は約1.350kg

バッテリ駆動時間は、本体のみで約8時間。キーボードドックに取り付けると約16時間

ディスプレイには5点のマルチタッチに対応した11.6型のIPS液晶を搭載する。こちらも「IdeaPad Yoga 13」と同じように、複数人が別々の角度からディスプレイを見てもクリアに画面を表示する。

インタフェースはMicro USB×1、Micro HDMI×1、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0、Webカメラ(200万画素)、Micro SDカードスロット、オーディオジャック×1。キーボードドックではなく本体側にMicro HDMIが配置されているが、「外出時にタブレットを持ち出して大画面に出力するという考えから、本体側に配置している」(藤井氏)という。

「時代はPC+の時代に入った」

レノボ・ジャパン 代表取締役社長 渡辺朱美氏

レノボ・ジャパン 代表取締役社長 渡辺朱美氏は、コンシューマ市場が落ち込む中、ワールドワイドのみならず、日本国内でもレノボがシェアを拡大していることにふれ、その成長の要因について「IdeaとThinkという2つの革新的な製品群を持っていることもあるが、"攻めと守り"という明快でバランスのとれた戦略を継続してきたことがある」と説明する。

レノボ・ジャパンは3年の間、日本市場では守りの領域として法人ビジネス、攻めの領域としてSMBとコンシューマに注力するという戦略をとってきたという。

コンシューマ市場では「Idea」ブランドを2008年に立ち上げて、コンシューマ市場に参入し、ラインナップの拡充を図ってきた。販売網に関しても現在では全国の家電量販店でレノボ製品が購入できる体制が整えられている。

渡辺氏は「お客様のPCの使われ方が多様化し、お客様がPCに求めるものも多様化してきている」と話す。

その上で「時代はPC+の時代に入った。PCだけではなくタブレットやスマートフォンなど1人が複数のデバイスを所有して、シーンに応じて使い分ける時代になった」と、PCを取り巻く変化を説明し、「Windows 8の登場によってレノボでは多様化した要望に応えるコンバーチブルな製品を投入する。コンシューマ製品に加えて、法人向け製品についても近日中にご紹介したい」と話した。

日本の年末を活性化

日本マイクロソフト 代表執行役 社長 樋口泰行氏

製品発表会にはゲストとして日本マイクロソフト 代表執行役 社長 樋口泰行氏も出席した。樋口氏は「Windows 8は画期的なOS。タブレットとして先進的な使い方ができる一方で、従来のインタフェースにもワンタッチで切り替えることが可能で、キーボードとマウスを使って生産的な仕事もできる。まさにいま考え得るソリューションを全部包含したOSになっている」とWindows 8の利点を強調する。

さらに樋口氏は「Windows 8に関してはマイクロソフトとしてもこれまでにない規模でマーケティングを展開する。全社挙げてマーケットを盛り上げて爆発させていきたい。オーバーにいうと日本全体の年末を活性化させたい」とWindows 8に対する注力する考えを示した。