「やれるとはいえない。でもやるしかないんだ!」とは、アムロが奥歯を噛みしめながら、民間人なのに兵士扱いしたブライトに言った言葉だ。とかく、戦場というものは理不尽である。

PS3で6月28日に正式リリースされた『ガンダム バトルオペレーション』は、そんな『機動戦士ガンダム』の原点ともいうべき戦場なのかもしれない。地球連邦軍とジオン公国軍が最大6対6で8分間の戦闘を行うこの完全オンライン対戦ゲームは、ダウンロードすれば2時間に1回、連続3回まで無料でプレイできる実にコストパフォーマンスのいい作品だ。すでに55万人がダウンロードしたとのことで、それこそPS3ユーザーはとりあえずダウンロードしておけばどうか、とおすすめしてもいい。

誰でも簡単にモビルスーツは動かせる

モビルスーツ(以降MS)の基本操作は簡単。移動、ダッシュ、攻撃、武器の切り替え、射撃武器の照準移動、これにブーストゲージ全消費で出せるタックル、およそこれだけできれば基本的な戦闘は可能だ。武装はマシンガンやバズーカなど携行武器にバルカン、クラッカー、キャノンなど機体固有の武器、ビームサーベルやヒートホークなど格闘武器を使い分ける。MSには汎用、格闘、支援の3タイプがあり、汎用は格闘に強く、格闘は支援に、支援は汎用に強いという相性を知り、相性のいい敵機を狙うのがセオリー。その他の操作として遠距離時の狙撃モード、ジャンプ、しゃがみ、緊急回避といったアクションもあり、これらは機体のタイプに応じて必要度が変わってくる。MSや武器は戦闘後の報酬で設計図の一部を獲得し、完成させたら同じく戦闘報酬として得た開発ポイントを消費すると支給される。陸戦型ガンダムやドムなどの高コスト機や、ザクⅡやジムでも性能がいい高レベル機は戦闘を繰り返し、経験値を得て階級を上げてからでなければ入手できない。

戦闘の基本は比較的防御力が高く、敵機を足止めしやすいバズーカを装備できる汎用タイプのMSが前線を形成し、それを後方から支援タイプが射程の長い武器で援護、格闘タイプは支援タイプを守ろうとする汎用機への陽動や囮として戦線崩し、という形になる。ただし戦場には爆破すると高得点になる本拠地があり、そこに至るルートが複数存在するため、どこから攻め、どこを守るかは戦闘のたびに変化する。レーダーも全域が確認できるわけではないので、ボイスチャットやチャットコマンドが役立つはずだ。勝敗はポイント制で決まる。敵MSや兵士を撃破するだけでなく、MSを降りての中継拠点制圧や敵本拠地の爆破もポイント獲得となるので、状況に応じてMSを降りての行動も必要となる。また、MSを降りてリペアキットでの機体修復は早めに覚えておきたい。

連中は戦法も未熟なら、戦い方もまるで素人だ

ただし、戦場はまったくもって甘くない。勝っても負けても「なんでだよ!」と言いたくなることばかりが起こる。操作マニュアルを見ながら初めて戦場に立てば、いい的だと言わんばかりにボッコボコにされる。逆にそこそこ腕が上がってきても、出撃した味方機が新兵で頼りにならなかったり、拠点制圧でポイント稼ぎだけして戦闘ではまるで働かないスタンドプレイヤーにより戦線崩壊など日常茶飯事だ。そんな恐ろしい敵、味方に囲まれて出撃と戦死を繰り返しながら、戦い続けることになる。おそらく、自分の理想とするような戦いなど、100回に1回も味わえないだろう。

そんな意のままにならない戦争でいかに戦うか? 本作に参戦するプレイヤー、いや兵士に求められるのは一流のテクニックではなく精神の強靱さだ。もちろん戦闘技術や状況判断、駆け引きを身につけなければ勝率は上がらないが、まずは何があっても戦闘終了まで戦い抜く精神力が強く求められるのは間違いない。逆に言えばそれさえあれば、ある程度の技術と知識はあとからついてくる――というのがいわゆる低階級、無料プレイで遊ぶライトユーザーがひたすら血を流し続ける戦場である。正直、これはこれで楽しいものだったりする。中には腕の立つフレンドを集めて盤石の勝利を重ねていくプレイヤーもいるが、どちらかというとロシアンルーレット的な大荒れの戦場でもがき続けるマゾ的な快感と、その中でごくたまに見出される友軍機との連帯感が、一年戦争を体験するということなのかもしれない。……続きを読む