携帯電話3社の2012年度第1四半期の決算が出そろった。ソフトバンクは増収増益を達成し、好調を維持。NTTドコモとKDDIは減益ながら、ともに年間目標は達成できる見込みとしており、堅調な決算をアピールした。

2社は減益ながら通期目標は達成可能、ソフトバンクは成長を継続

ドコモは営業収益が1兆723億円で前年同期比2.4%増、営業利益は同1.9%減の2,626億円、純利益は同3.5%増の1,643億円で増収減益。KDDIは営業収益が同0.4%減の8,616億円、営業利益が同32.8%減の942億円、純利益が同28.7%の513億円で減収減益。ソフトバンクは売上高が同0.3%増の7,669億円、営業利益が同9%増の1,921億円、純利益が同4%減の906億円で増収増益だった。

ドコモの第1四半期決算のポイント

KDDIの決算のポイント

通期の利益目標は、ドコモが9,000億円、KDDIが5,000億円だが、進捗率はそれぞれ29.2%、18.8%で、ドコモの加藤薫社長も、KDDIの田中孝司社長も、「計画通り」である点を強調する。

ソフトバンクの決算のサマリー

ソフトバンクの孫社長

ドコモは携帯収入のうち、音声収入が412億円減少したが、パケット収入が同9%・461億円増の4,851億円となった。子会社の増益などによる128億円のプラスや端末販売収入の増加による357億円のプラスという要因はあったが、月々サポートの影響による283億円の減少、端末販売費用の増加、通信設備使用料などの減少、その他費用の増加などが利益を押し下げたが、進捗率は30%近く、想定内で堅調だという。

ドコモの営業利益の増減要因

KDDIは、携帯電話収入全体で172億円の減少、端末評価減などの一時的な費用が73億円という減益要因に加え、その他のコストが292億円かかり、全体で大幅な減益となった。しかし、その他のコストのうち160億円は、同社が進める3M戦略の先行投資であり、さらに7月31日まで続けてきた800MHz帯の周波数再編費用が、昨年第2四半期から第4四半期で約510億円に上り、今後はこれがなくなるため、第2四半期以降は増益要因となる、という。

KDDIの営業利益の増減要因

KDDIの田中社長

第1四半期の携帯電話事業では、ドコモの純増数は27万で、PlayStation Vitaなどのプリペイドデータプランの影響を除くと40万契約増。解約率は0.74%で、同0.67%。MNPは流出の方が多いが、4月から6月にかけて減少傾向で、「割引施策が一定の効果を上げた」(ドコモ・加藤社長)としつつ、さらに改善していきたい考え。

ドコモの純増数、解約数、MNPの状況

端末の販売数は517万台で、同11.2%増。スマートフォンの販売台数は249万台で、そのうち約4割がXi端末。量販店における販売シェアは49%(GfK調べ)だったという。通期では1,300万台のスマホを販売し、Xi比率は6割まで拡大する意向だ。