中国Huaweiは2月26日(現地時間)、クアッドコアCPUを搭載したスマートフォンの新製品「Ascend D」を発表した。同端末は、2月27日から3月1日まで開催される世界最大のモバイル向け見本市「Mobile World Congress 2012」に合わせて開催されたプレスカンファレンスで公開された。

4.5インチ液晶、クアッドコアCPUを搭載した「Ascend D」

「Ascend D」は、4.5インチHD液晶を搭載し、1CPU4コアを実現した自社製「K3V2」プロセッサを採用した同社のハイエンドスマートフォン。動作周波数は1.2GHzまたは1.5GHzで、OSは最新のAndroid 4.0(Ice Cream Sandwich:ICS)を採用する。Huawei DeviceのRichard Yu会長は、「最もパワフルで最速のスマートフォン」とアピールする。

大型で高解像度液晶を搭載

薄型のボディを実現

Yu会長は、ユーザーからのフィードバックは、スピード、操作性、音質・画質、バッテリ寿命の4つに分けられると指摘。これを実現するのがAscend Dだという。同社のスマートフォンシリーズであるAscendは、Y、G、Pの3種類があり、それぞれYouth、Gold、Platinumの頭文字で、今回発表された最上位機種のDは、Diamondの頭文字になるそうだ。

Richard Yu会長

Ascendシリーズ4モデルの最上位機種がAscend D

CPUは、クアッドコアのアプリケーションプロセッサを搭載したK3V2であり、CPUは4コア、GPUは16コアとなっている。「チップの発熱は最も低く、パッケージは最も小さい」(Yu会長)といった特徴を備えている。

4コアCPU+16コアGPUを搭載したアプリケーションプロセッサ「K3V2」を搭載

他社製品と比べてもハイパフォーマンスを達成している

Yu会長は、Ascend Dの1.5GHzクアッドコアとASUS Eee Pad Transformer primeのTegra 3 1.4GHzクアッドコア、Samsung GALAXY Nexus 1.2GHzデュアルコアを比較した図を示し、ベンチマークソフトではいずれも勝っており、「世界最速」をアピールする。あらゆる場面で動作は高速になっているとしており、デュアルコアモデルと比べて通常の操作では49%の高速化を実現しているという。

ギャラリーアプリの起動など、普段の操作でも快適に動作し、49%の高速化を実現したそうだ

16コアのGPUによってグラフィックスのパフォーマンスも向上。前述の2モデルと比較して「2倍のパフォーマンス」(Yu会長)になっているという。3Dグラフィックスの再生では、Ascend Dクアッドコアモデルが35fpsのフレームレートだったのに対し、他のクアッドコアタブレット端末が13fps、デュアルコアスマートフォンが8.46fpsだったそうだ。

ベンチマークソフトによるテスト結果と、3Dグラフィックの再生能力比較

こうしたパフォーマンスに加え、4.5インチHD液晶という大型・高解像度ディスプレイを搭載しながら、「最もコンパクト」(Yu会長)であることもポイントで、他社の4.3インチ画面搭載スマートフォンの幅が68.9mm、他社4.5インチ画面搭載スマートフォンの幅が69.9mmに対して64.9mmと、わずかながら横幅が短くなっている。厚みも8.9mmと薄型に仕上げた。

ディスプレイはIPS+液晶で、解像度は1280×720、330ppiと高解像度。色数は32bit(1677万色)のTrueカラーで、16bit(65,536色)に比べて色再現性が向上し、明るく屋外でも見やすい画面を実現したという。

他社に比べて幅が狭く、持ちやすい

大画面高解像度ながら、画面が大きいため、文字が小さくなりすぎず見やすい点もYu会長はアピールする

色数が多いため、グラデーションの色再現が向上する

屋外でも見やすい

カメラに関しても有効画素数800万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。フルHD動画の撮影にも対応し、高感度撮影時の低ノイズ化などにより、高画質を実現している、という。

暗部画質を向上させた裏面照射型CMOSセンサー搭載のカメラ。右は実際にAscend Dのカメラで撮影されたもの

音質に関しては、Dolby Digitalの5.1chサラウンドに対応し、高音質を実現。2つのマイクを使って周囲の騒音を消す「earSmart」を搭載。送信、受信ともに音質が向上し、騒音が激しいクラブハウスのような場所でも通話しやすくなる、という。

Dolby Digitalによるサラウンド再生も対応し、高音質の音楽再生が可能

2つのマイクによって雑音を打ち消し、通話の声を聞き取りやすくするearSmart

他社製品に比べて、特に発話の音質が向上している

さまざまな場所での聞きやすさの比較

4コアCPU、16コアGPUをインテリジェントに管理する人工知能(AI)技術を搭載することで、アプリケーションプロセッサの消費電力を50%削減。低消費電力のハードウェアとアルゴリズムを組み合わせ、さらに基地局からの信号検出速度も向上させることで、電力消費を削減。30%改善したという。1,800mAhのバッテリを搭載するモデルでも、平均的な利用で1~2日のバッテリ食うが可能だが、2,500mAhの大容量バッテリを搭載したモデルも用意し、こちらは2~3日持つとしている。

バッテリ駆動時間を伸ばすために、プロセッサのコア管理をインテリジェントに行うなど、工夫を盛り込んだ

こうした技術によって動作時のプロセッサ温度も低い

午後12時から午前8時までのバッテリ残量は、他社端末よりも多く、電力消費の少なさをアピール

すぐに電波をつかむことで、電波をサーチすることに夜電力消費を削減する

省電力技術に加え、大容量バッテリの採用で駆動時間をさらに延長できる。大容量バッテリを搭載したXLでも、厚みは「ほとんど同じ」(Yu会長)

Ascend Dシリーズは、K3V2を搭載したクアッドコアモデル「Ascend D quad」と、それに大容量バッテリを備えた「Ascend D quad XL」に加え、デュアルコアCPUのTI OMAP4460 1.5GHzを搭載した「Ascend D1」が提供される。プロセッサ以外のスペックは同等で、「Ascend D quad」と「Ascend D1」が129(H)×64(W)×8.9(D)mm、「Ascend D quad XL」が129×64×10.9mmとなっている。

用意される3モデル

「Ascend D quad」は中国、欧米、アジア太平洋地域などで今年第2四半期に発売予定。「Ascend D1」は、4月から同じ地域で発売する。

Yu会長は、Ascend D1についてLTE版も準備していると話し、「日本市場と米国市場で発売する」とコメント。時期は「第3四半期から第4四半期」になるという。今回の発表では具体的な事業者名についてはコメントされていないが、国内ではイー・アクセスが12月にもLTE対応スマートフォンの発売を計画しており、登場の可能性はありそうだ。また、FDD-LTEに加え、TD-LTEにも対応できるとYu会長。国内ではソフトバンクモバイルの「Softbank 4G」が「TD-LTEと100%互換」とされているため、採用される可能性もある。Yu会長は、注力市場として中国や欧州、米国市場に加えて日本市場もあげており、日本向けの積極的な製品展開を期待したいところだ。

(記事提供: AndroWire編集部)