登壇する岩崎氏

NTTドコモは23日、同社が東日本大震災の教訓を踏まえ策定した「新たな災害対策」について都内で記者説明会を行った。現在の対応状況の説明のほか、災害発生時、パケット通信で音声メッセージを送ることができる「災害用音声お届けサービス」の紹介も行った。

説明会の冒頭、登壇した同社取締役常務執行役員の岩崎文夫氏からは取り組み状況の概要について説明があった。ドコモでは東日本大震災以降、「重要エリアの通信の確保」「被災エリアへの迅速な対応」「災害時におけるユーザーの利便性の向上」を目的に「新たな災害対策」を策定し災害対策に取り組んできた。重要エリアの通信の確保については、大ゾーン方式基地局を全国104カ所に設置した。これは人口の35%をカバーできる規模であるという。また、基地局の無停電化、バッテリーの24時間化も推進している。被災エリアへの迅速な対応については、避難所での通信確保のため衛星電話を3000台用意し、また衛星システムを活用したエリアの早期構築などにも取り組んでいる。災害時におけるユーザーの利便性の向上については、今回新たな取り組みとして災害用音声お届けサービスを提供する(これについては後述を参照)。

ドコモでは先の大震災時、東北エリアだけでも4900局の基地局がサービスの中断を余儀なくされた。4000名体制で復旧に努め、4月に概ねエリアを回復できたという。現在、ドコモが進めている新たな災害対策は、この教訓を踏まえて昨年の4月に策定されたものだ。岩崎氏によれば「この取り組みは地震だけでなく、台風や水害など他の災害についても有用である」とのことだった。

ドコモの進めている新たな災害対策

2012年2月末で全施策が概ね完了予定であるという

災害時には、大ゾーン基地局から電波を発信する。これにより、ドコモユーザーは広域災害・停電時にも通信を確保できるようになるという。これはドコモに割り当てられた全ての周波数を用いて行う施策とのことだった。大ゾーン基地局のアンテナは全国104カ所の堅牢な建物の上に設置されている(2月末に設置完了予定)。

大ゾーン基地局により、人口密集地の通信を確保する