――ここまで来ると、シャッターの半押しという概念がなくても良さそうですね。自分で少し使ってみた限りですが、ZR20やZR200はいきなり全押ししてもキレイに撮れます。
西坂「半押しという概念をなくしたい気持ちはあります。カメラを知ってる方はいいのですが、昔のレンズ付きフィルムカメラのように、単にシャッターを押せばOKという感覚の方もいらっしゃいますからね。
ZR20やZR200でしたらオートフォーカスが速いので、いきなり全押しでも大半の場面で大丈夫ではないでしょうか。ただしあくまで半押しから全押しが本来の使い方ですから、そのように使って下さい(笑)。また、半押しが必要な撮影モードもあるので、今後の課題でしょう」
――究極のストレスフリーという理想に向けて、さらに改良したい点や追加したい機能などはありますか?
西坂「自分で勝手に考えているものなのですが(笑)、"コンセプトトライアングル"というキーワードです。ZRシリーズのコンセプトトライアングルは、3つあります。まず1つは、基本性能をブラッシュアップしていくことが必要です。快速シャッター、高速起動、高速終了といったところは、ストレスフリーのポイントとして、ずっと追いかける部分と思っています。ZRシリーズ、イコール、快速シャッターのように、ZRシリーズの代名詞的な部分でもありますから。
電池の持ちもそうですね。ZR20ではエコモードを取り入れていて、エコモードを有効にすると、仕様上で335枚の撮影枚数が405枚まで増えます。2~3日の旅行なら、途中で充電しなくても、帰宅するまで使い続けられることもあるかと思います。
もう1つは、他社さんの製品も含めた差別化ですね。EXILIMのエンジンを生かした中で差別化できる機能というのは、当然やっていかないといけない。高速連写をベースにしたHSナイトショットや背景ぼかしなどはもちろん、撮影場所に制約があるところで超広角に撮れるワイドショット(*)なども、差別化の部分と思っています。
最後の1つは、トレンドのキャッチアップでしょうか。具体的には、ZR20で搭載したアートショットです。いわゆるフィルタ機能で、トイカメラ、ソフトフォーカス、ライトトーン、ポップ、セピア、モノクロ、ミニチュアという7つのフィルタを搭載しています。写真を撮るだけでなく、撮って楽しむための機能です。カメラだけで写真を加工できる機能というのは、楽しんで使っていただいているユーザーさんが多く、好評な機能なのですよ。
このコンセプトトライアングルを軸に、これからも"究極のストレスフリー"なデジタルカメラを目指していきたいと思っています」
*ワイドショット
カメラ本体を、左右、または上下左右にゆっくりと動かすことで、レンズの広角端よりも広い範囲を撮影できる機能。カメラを動かしているときに高速連写を行い、合成して広画角の写真として出力する。感覚的には、自動パノラマ撮影のようなイメージ。