コア技術/機能でもある"高速連写"

――EXILIMの高機能モデルといえば、以前から"高速連写"という技術を確立されています。高速連写して合成、そして1枚のキレイな写真を作るという応用も、ストレスフリーを支えていますよね。

西坂「デジタルカメラ市場の中でEXILIMがもっとも差別化できるのは、これまで培ってきたデジタル技術や機能だったり、応用を進化させていくことです。高速連写と合成は、そのアプローチの中で生まれてきた技術、機能なので、そこは追求していきたいですね。ZR20で新しく搭載したHSナイトショットが良い例です」

――HSナイトショットは、先日のCP+(2012年2月9日~12日にパシフィコ横浜で開催)でもカシオブースでデモされていました。暗いところでも本当に明るく撮れてビックリしました。

西坂「HSナイトショットは、暗いところでフラッシュなしで撮影しても、明るく撮れる機能です。シチュエーションとしては、フラッシュ禁止の水族館や美術館などを想定しています。

仕組みは高速連写と合成です。ISO感度を非常に高くして連写するので、1枚1枚の画像はノイズがのっていますが、複数枚を合成することで除去できます。大きく増感しているぶん、1回の撮影で多くの枚数を内部的に高速連写しています。

機能としてチューニングをする上では、感度と画質のバランスが難しかったですね。もっとISO感度を高くすることも可能ですが、それだと「なんだこの画質」みたいなノイズだらけの画像になってしまいます。暗い場所をフラッシュなしで明るく撮れて、しかも一定の画質を実現できる設定をつめるのが、非常に苦心したところでしたね」

室内を薄暗くして通常のオートモード(フラッシュ禁止の設定)で撮影したもの(写真左)と、HSナイトショットで撮影したもの(写真右)。薄明かりの中でも、これだけ明るくキレイに撮れるのは、本当にオドロキだ

――HSナイトショットのほかに、高速連写ならではの撮影モードはありますか?

「いち押しショット」は、いわゆるシーンモードの「ベストショット」機能の1つ

西坂「例えば「背景ぼかし」も、高速連写を応用した典型的な機能です。あまり多くは語れないのですが(笑)、複数枚を連写して分析すると、どれが被写体なのかが分かります。そこで特殊なフィルタをかけて、被写体以外をぼかして1枚を最終出力するという原理です。

また、高速連写した画像をすべて保存しておきたいというニーズの反面、この1枚だけでいいというユーザーさんもいらっしゃって、そんな方におすすめなのが「いち押しショット」です。高速連写した複数枚の画像を分析して、ブレていない、人物が目をつぶっていない、笑顔がキレイなど、一番よいと判断した画像だけを出力します。

このように、高速連写と合成がないと、成り立たない撮影モードがどんどん増えてきていますね」

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