デジタルの心臓が実現する新しいユーザビリティ

― 中身といえば、DST(サマータイム)自動設定機能も初めて搭載されたんですよね。これは、今までありそうでなかった機能だと思うんですが。

岡本「そうですね。ユーザーさんは、必ず電波が受信できる場所にいるとは限りません。電波を受信しなければ、時計はサマータイムを反映してくれないので、これをどうにかしたいという議論は昔からありました。そして今回、やっと採用になったのです。」

― 時計内部にサマータイム情報が格納されているのですか?

岡本「LSIの中にサマータイム情報がプログラミングされています。それぞれ、○月の第○何曜日に変わるというデータですね。時計の日付や時刻からこのデータを参照して自動的に切り替わるので、将来、もし現在の制度が変更されたりすると対応できません。

とはいえ、現実的には電波受信できない場所でサマータイムになったとき、その都度お客様に手動で"+1時間"を調整してもらうより、はるかに便利だろうと思うんですよ。」

ベゼルにはサマータイム対応の都市名

― もし、将来的にサマータイムの切り替え時期が制度的に変更された地域があったとしますよね。たとえば、時計上ではサマータイムがオンになっているときに、実際のサマータイムが終了してしまった場合は?

岡本「時計のサマータイムを手動でオフにしてください。つまり、サマータイム自動設定機能がない時計=従来の電波時計と同じ操作です。もちろん、予定通りなら自動的にサマータイムがオン/オフになるわけで、この機能によって便利になる人はいても不便になる人はいないと思います。

ちなみに、OCEANUSのベゼルには都市名が書かれていますが、これは従来、都市名というより、そのタイムゾーンを代表する都市でした。今回はサマータイムの情報を入れているので、完全に都市を指しています。ちょっと概念が変わったのでご注意ください。」

― 現実的にはサマータイム自動設定機能で恩恵を受ける人の方が多いと思いますし、そもそもその機能に魅力を感じる人がこの時計を買うという側面もあるはず。その時点で、すでにある程度ユーザーがセグメントされているともいえますね。

岡本「OCW-S2000は、ユーザビリティに優れた時計を目指してスマートアクセスを搭載しましたが、サマータイム自動設定機能もその一環です。ユーザーの皆様にとって、カシオならではの使いやすい機能を提供していきたい。そしてそれは、OCEANUSシリーズを開発する上での基本理念でもあります。

これまでのアナログ時計は、中は同じでも外観とブランドを変えることで面を広げてきた。でも、カシオはそれではダメです。前にも述べましたが、中と外が密接に関係性を高め合った、カシオにしかできない腕時計を作っていかないと。」

それはブランドとしての魂であり、根幹だと岡本氏は語る。デジタルの心臓を、デザインと機能にどう活かしていくか。我々ファンとしても、ますます目が離せない。

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