家電メーカーの「シャープ」「ダイキン工業」「東芝」「日本電気」「パナソニック」「日立製作所」「三菱電機」と、「KDDI」「東京電力」「三菱自動車工業」は、12日、「HMESアライアンス」(ヘムスアライアンス)の立ち上げを発表した。事務局は、東京電力内に設置される。

HEMSアライアンスは、スマート家電の環境整備と普及を目指す団体。現在、家電メーカーでは、ネットワークに対応したスマート家電と呼ばれる分野の製品を、いくつか発売し出している。家庭内にあるスマート家電は、ホームコントローラー(呼び方は各社により異なる)上で使用電力をモニタリングできたり、操作を行うことが可能だ。また、家庭内だけでなく、外部からも、ネットワーク経由で家電製品のモニターや操作を行うことが可能で、さらに、家電製品だけでなく、太陽光発電、蓄電池のコントロール、EVへの充電、非常時にEVのバッテリーに蓄えられている電力を家庭用の電力として利用するといったことも、実用化の段階を迎えている。

メーカーの垣根を越えて、スマート家電のコントロールややエネルギーマネジメントが可能に

もちろん、これらの製品の普及は、まださほど進んでいるというわけではない。その最も大きな原因となっているのが、これらのスマート家電が、現時点ではメーカーごとに閉じられたかたちとなっており、違ったメーカーの製品をシステムに加えることが想定されていないという点だ。HEMSアライアンスの活動の1つが、こうした各社のスマート家電を相互接続した場合の問題点、弊害、危険性などを洗い出し、解決策を考えるための場とするというものだ。

ただし、これが統一した規格や共通のプラットフォームの策定という話に進むかというと、現段階では、そういう方向を目指しているわけではないという。現在、各社はすでに、スマート家電と、それらをコントロールするシステムを販売している(例えば、パナソニックでは、同社の薄型テレビ「ビエラ」をコントローラーとして使用している)。また、デファクトスタンダードになるような大きなシェアを持っているメーカーも存在していない。統一規格や、共通プラットフォームへの移行よりも、現状のシステムを生かしたまま、そこに、他社のスマート家電を組み込む方法を考える、という方向のようだ。