ヤマハは、歌詞とメロディーを入力するだけで歌声を合成する技術および、それを応用したソフトウェア「「VOCALOID」の最新バージョン「VOCALOID 3」の発表会を開催した。

VOCALOIDの生みの親である剣持秀紀氏による、VOCALOID 3のデモサンプルの視聴では、さらにリアルになった音声が披露された

VOCALOID 3は、クリプトン・フューチャー・メディアの「初音ミク」に代表されるキャラクターボーカルシリーズや、インターネットの「がくっぽいど」に代表されるアーティストボーカルシリーズなどで幅広いユーザーから好評な「VOCALOID 2」をさらにブラッシュアップした最新ソフトウェア。

VOCALOID 3からは、楽曲制作ソフトウェア「VOCALOID3 Editor」と歌声ライブラリを、別々に販売する形態となり、歌声ライブラリには機能限定となる「Tiny VOCALOID3 Editor」が付属される。両者の違いは、編集・再生可能なトラック数 、最大小節数、エフェクト対応、VOCALOID Job Plugin機能 およびV2 Library Import Toolの有無など。これにより、ユーザーは、基本ソフトウェアを共通で使用しながら、歌声ライブラリのみを選択・追加していくことが可能になるという。発売は、VOCALOID 3 Editorが2011年9月末、対応歌声ライブラリ(VY1 for VOCALOID 3などを含む2タイトル)が2011年9月末以降を予定している。

本バージョンでは、「VOCALOID」、「VOCALOID2」の開発で培われた合成アルゴリズムの改良と、合成音の品質向上が施されており、従来と比較し、リアルな歌声が合成可能。歌声ライブラリには、これまでよりも大きな単位でサンプルを保持でき、よりなめらかなで自然な合成音を生み出せる。これまで、音程の変化に伴い音源が切り替わる際に生じていた不自然な音色変化も改良されたという。対応言語については、日本語と英語に加え、新たに中国語、韓国語、スペイン語を追加。各国語の歌声ライブラリを用意すれば、その言語での歌声の合成を実現する。

楽曲制作ソフトウェア「VOCALOID 3 Editor」の操作画面

また、VOCALOID 3のユーザーインタフェースは、これまでのピアノロールスタイルのエディタ画面に加え、音楽制作ソフトウェアなどでお馴染みのトラックビュー画面も導入され、各トラックを管理しやすくなった。各トラックには、複数のパートを配置することが可能で、歌声パートの編集がより効率的に行える。

トラックビューやVST Host機能をサポートし、より音楽制作ソフトウェアとしての完成度も高まった「VOCALOID3 Editor」

さらに、「VOCALOID3 Editor」には、伴奏(ステレオとモノラル/オーディオデータ1トラック分)再生機能や、多彩なサードパーティ製プラグインなどを利用可能な「VST Host」機能、歌声トラックの編集機能を拡張できる「VOCALOID Job Plugin」機能などを追加搭載。本ソフトウェア単体でも一通りの楽曲制作が行えるように進化した。VOCALOID2の歌声ライブラリについては、「V2 Library Import Tool」を利用することで、基本的にVOCALOID3でも利用が行えるとのこと(一部のライブラリのみインポート可能。有料の場合あり)。現状、VOCALOID 3 Editorの対応OSは、Windows XP/Vsita/7のみ。

「GLAM」のメンバー、キム・ダヒー

そのほか、ヤマハとのライセンス契約を結んだ法人や個人に対して、合成エンジンのAPIや、前述の「VOCALOID Job Plugin」の仕様なども公開予定とアナウンスされており、従来のユーザインタフェースにとらわれない新たな歌声合成ソフトウェアの登場も期待できる。

なお、本発表会には、今秋に韓国で発売されるVOCALOID 3を使った製品に音声を提供するK-POPガールグループ「GLAM」(今夏韓国でデビュー予定)のメンバー、キム・ダヒーも登場。その音源を用いたデモソングが公開された。