Metro 2033(グラフ58~60)

THQ Inc.
http://www.metro2033game.com/en

ゲームの最後はこちらである。こちらはDX9~DX11まで動作モードを選べるので、DX11のみGMA 3000を除外して行っている。解像度はやはり1366×768ピクセル固定で、DX9の場合は、

Low Low Quality/No AA/Texture 4X
Medium Medium Quality/No AA/Texture 4X
High High Quality/No AA/Texture 16X
Very High Very High Quality/No AA/Texture 16X

DX10及びDX11は、

Low Low Quality/AAA/Texture 4X
Medium Medium Quality/AAA/Texture 4X
High High Quality/MSAA 4x/Texture 16X
Very High Very High Quality/MSAA 4x/Texture 16X

としている。

さて結果であるが、こちらの結果で初めてCrossFireの効果が確認できることになった。ただし、あまり肯定的な意味合いではない。とりあえずCrossFireの話を忘れて全体的に見てみると、Llanoもなかなか健闘しているが、GeForce GT 555にはやや及ばないといったスコアである。負荷が重くなるとGeForce GT 555のフレームレートは急激に落ち込むが、それでもLlanoよりは良いフレームレートで推移している。

さて、問題はCrossFireである。負荷が軽いDX9(グラフ58)やDX10(グラフ59)では、CrossFireは単にお荷物でしかない。これを動作させることで、フレームレートは描画オプションに関わらず10~11fpsでほぼ一定だからだ。これはDX11(グラフ60)でも同じなのだが、一番描画オプションが重いDX11のVery Highでは初めて他の条件を上回るスコアになっている。

こうしたケースは、これまでも何度も見たことがある。要するにCrossFireを動かすことによる性能増分よりも、CrossFireを動かすことによるオーバーヘッドの方が大きい、という状況が常に起きている訳だ。多分こうした状況を招いている理由の一つは、Photo30で説明したプロファイルベースのAFRにあると思われる。このプロファイルは基本的に「プログラムで決まり、ユーザーからは変更不能」ということで、負荷の状況とかで分担が変わらないために、かならずしも負荷にマッチした形になっていないように思われる。

ということでLlanoでCrossFireの効果を得るためには、より高い描画負荷を掛けるか、もしくはより大画面にするか、ということになる。とはいえ、これまで見てきたとおりLlanoに内蔵されるRadeon HD 6620Gの性能は(ローエンドとは一線を画すとは言え)それほど高いものではないし、今回効果が見えたMetro 2023のVery Highにおけるフレームレートは10fpsそこそこだから、これ以上描画を重くしてもユーザーが喜ぶことにはならないだろう。したがって、描画オプションをもう少し軽くしつつ、画面解像度を引き上げるほうが現実的であるが、それは外部ディスプレイを接続する必要が出てくるわけで、少なくとも現在の内蔵ディスプレイではCrossFireの効用は無い、というのが結論となるだろう。