宇宙テロ発生! サンフランシスコ蒸発! バトルスーツ起動!
筆者は、勝手に「SFメカアクションゲーム」とカテゴライズしてしまったが、セガや開発元のプラチナゲームズは、『VANQUISH』をそうジャンル付けしているわけではないことをあらかじめお断りしておく。あくまで個人的な見解だ。しかし、プレイすればするほど「うむ、これは傑作SFメカアクションゲームである」と思えてくる。
舞台設定は今からちょっと先の未来。人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、しばらく経った頃の時代。アメリカの所有するスペースコロニーが「謎の軍事勢力」の襲撃を受け、いとも簡単に制圧されてしまう。
太陽光発電の拠点として建造されたこのスペースコロニーは、電力をマイクロウェーブに変換して地球に送電している。謎の軍事組織は、マイクロウェーブを増幅して照射する兵器へと転用し、あろうことか、その照準をサンフランシスコに対して定める。
そして、サンフランシスコは蒸発……。
その事件の直後、謎の軍事組織は、自分たちがロシアでクーデターを成功させたばかりの「ロシアの星」と呼ばれる集団であることを明かす。彼らはサンフランシスコを蒸発させたことで実力を誇示し、さらに、この混乱に乗じてアメリカへ宣戦布告する。次なる標的がニューヨークであると告知した上で、アメリカ政府に無条件降伏を要求するのであった。 アメリカ大統領、エリザベス・ウインターズは、これに対し「侵略者とは交渉しない」と毅然とした態度で挑み、現在は「ロシアの星」の軍事拠点となりはてたスペースコロニーの奪還作戦を決行する。
このスペースコロニー奪還に挑むアメリカ軍混成部隊の総指揮官には歴戦の英雄、半サイボーグ・オヤジ「ロバート・バーンズ」が任命される。これに同行するは、"禁煙できなかった組"のインテリマッチョ、主人公「サム・ギデオン」さん。彼を無線でサポートするのはIQ183の美女「エレナ・イヴァノワ」ちゃん。
なお、サム (とエレナ)はアメリカ軍人ではなく、DARPA (ダーパ:Defense Advanced Research Projects Agency)と呼ばれる国防高等研究計画局の研究員であり、今回の作戦への参加には、彼らが開発したバトルスーツの戦闘データ収集という目的があった。ただし、これは"表向きの理由"であり、DARPAには別の目的があったのだ。
なんと、このバトルスーツの開発者であり、スペースコロニー計画の発案者でもあるフランシス・カンディード博士が、今回の奇襲事件の直後に行方不明となってしまったのだ。兵器利用されたエネルギーシステムの設計者である博士は、サンフランシスコの壊滅に責任を感じ、単独でシステムを停止しに行くと言い残している。DARPAの真の目的は、消息を絶った博士を救出することだったのである。
バーンズはスペースコロニーの奪還、サムは博士の救出を最優先任務としており、2人は、目的地こそ同じだが、その任務内容は微妙に異なっているのだ。それゆえに、2人は互いをあまり頼りに出来ないという不安定な関係にある。こうした緊張感漂う人間関係の設定もなかなかクールだ。
「宇宙人は出てこない」「舞台が地球圏の宇宙」「リアルな政治的背景をベースにした紛争劇」「新興勢力による独立戦争がテーマ」と言った部分においてガンダムと似ている感じもするが、こうした現実世界の延長線上にある硬派なSF設定は、日本では人気ジャンルだし、なにより個人的に大好物だ。