カッコよすぎるメカ描写の数々に痺れまくる
プレイしてて気がつくのは、サムの着用しているスーツの描写がきめ細かく、そしてアクションの一つ一つが独特でカッコいいこと。高速移動のためのブースト発動を行うと、なんと「早駆け足」ではなく、中腰の"半"正座状態やスライディング状態で、地べたにARSの脚部をこすりつけながら火花を散らして突進するのだ。カーボンナノチューブ製とはいえ、摩耗しないのか心配になるのだが、そんな細かいことよりも、なにかカッコいい。なにしろ、これまでのゲームヒーローで"半"正座状態でかっ飛ぶヤツを見たことがない。
それと、新しい武器の取得は、実際に"そのものを取る"のではなく、対象物をスキャンして、ナノマシン技術でその構造を再現する……という設定になっている。なので、武器を切り換えると、右手に武器が生えていく……みたいな描写がなされる。このあたりはちょっと質量保存の法則を無視したトランスフォーマーっぽい変形で楽しげだ。
基本、ゲームは先に進んでいけばよい一本道システム。その要所要所で、中ボスや雑魚敵の大軍と遭遇する……という展開だが、この雑魚敵(ゲオルギー)がなかなかずる賢い動きをする。
遮蔽物に隠れて様子を覗いながら攻撃をしてくるし、こちらが撃つのをやめると、様子を覗って別の遮蔽物に移動したりする。それと、地味ながら「リアルかも!」と感心したのは、一番弱い雑魚歩兵でも、持っている武器が強いと、それなりにこちらにプレッシャーを掛けてくるほど活躍すること。スナイパーライフルやロケットランチャーを持っている雑魚は、居場所さえ突き止めてしまえば、一撃でやっつけられるが、不意打ちを食らうと、途端にピンチになる。
それと、雑魚敵は自分が絶体絶命であると確信して、一定距離内に攻撃対象がいると判断したときには自爆攻撃を仕掛けてくる。これが恐ろしい。至近距離で自爆されると手榴弾とほぼ同等のダメージを喰らうので、自爆モードに入った雑魚敵を見かけたら至近距離に強い武器で広範囲攻撃をして凌ぐか、あるいはブーストでその場を離れる必要がある。ゲームプレイ中、もっともゲームオーバーにさせられる相手は、エリート兵や中ボスなんかではなく、もしかしたら雑魚敵かもしれない。「1人1人の力はか細いが、力を合わせれば大きな力になる」……みたいなありがたい教訓を、プレイヤーは『VANQUISH』の雑魚キャラの行動から知ることになるのだ。
エリート兵や中ボス以上の"出で立ち"は昆虫っぽかったり、爬虫類っぽかったりするが、見た目だけでなく、その攻撃手法もトリッキーであり、対峙するのがスリリングでとても楽しくなる。弱点らしい弱点が必ずあるのだが、これを隠す動作が可愛らしくもあり小憎らしくもある。コンニャロー……と言わんばかりに弱点ばかりに執着して気がイっちゃってると、突然の突進攻撃や必殺攻撃をもろに喰らってしまったりして、一筋縄では攻め落とせない。
エリート兵や中ボス以上の敵は、単純な移動や隠れながらの攻撃ではなく、自身を変形させたりするので、そのメカアクションもお見逃しなく! 四つん這い状態から、人型の二足歩行状態に変形するときのカッコよさは相当なもの。「ええ、その部位が、人型に変形するとそんな役割を!?」というアイディア満載のデザインにドキモを抜かれることも。