VAIO Xはユーザーに何をもたらしてくれるのか。星氏は語る。「鞄に入っていることすら意識せずに毎日持ち歩くというスタイルを提案します。液晶を開けば、一日中いつでもどこでもPCが快適に操作できるので、屋外で使うことを強く意識されている方に最適なPCといえますね。3Dゲームや動画編集にはスペック不足ですが、メールやネット、ワードやエクセルまでサクサク扱えて、HD動画も楽しめます。このコンセプトから「余分はいらない。十分がほしい」というコピーが生まれました」

モバイルノートにありがちな提案とも思えたが、そんな筆者を星氏は「この馬鹿者め」とでも言いたげな目で一瞥して続ける。「数字で何gを切ったとか、何mm薄くなったではなく、使ったときの実感が大切です。この軽さと薄さだからこそ、雑誌や新聞みたいに宙に固定して操作することも苦じゃないんですよ。私も新幹線で1時間半くらい、片手で持ってコスト計算していました」。PCとしての性能を必要十分な範囲に留めながらモバイル性能を極限まで高めたことで、提案に独特の説得力を持たせているというわけだ。

新幹線でのコスト計算の様子を会議室で再現する星氏。「約765gという数字ではなく、実際に持ってみて実感できる軽さなんですよ」としみじみ語る

他のシリーズとの棲み分けについては、林氏が「Zシリーズはキャンピングカーみたいなイメージで、持ち歩けるけど絶対に不自由させないという製品です。VAIO Xはオープンカーのイメージです。シチュエーションがはまればすごく気持ちいいけど、そこで生活するには足りない部分があるみたいな感じですね」と説明してくれた。

林氏も、自宅のソファに寝転びながら、片手でVAIO Xを持ちながらネットを見ているという。ただ、星氏を見て「僕は、コスト計算で1時間半は疲れちゃいますけど」と笑っていた