Windows 7の一般販売開始から2カ月弱。家電量販店のパソコン売り場は「Vistaなんて最初からいらんかったんや!」と言わんばかりの賑わいをみせている。新OSの登場にあわせて各社が新モデルを一斉に投入しており、店頭には真新しいパソコンがズラリと並ぶ。そのなかでも異彩を放っているのが、ソニーのモバイルノート「VAIO X」だ。

ソニー「VAIO X」。店頭モデルは2種類あり、Officeなしの「VPCX118KJ/B」は100,000円台後半、Office Personal 2007搭載の「VPCX119KJ/B」は120,000円台後半で売られている。ともにOSは32bit版のWindows 7 Home Premium。サイズはW278×D185×H13.9mmとなる

VAIO Xは、厚さ13.9mmの傾斜がないフラットなボディを採用した11.1型ワイドノート。JEITA測定法で約10時間のバッテリー駆動と765gの軽さを両立しながら、オフィスなしモデルで100,000円台の低価格を実現している。店頭モデルはCPUがAtom Z540で、搭載メモリはDDR2を2GB。64GBのSSDを組み込んでいる。

すでに多くの媒体で紹介されている花形モデルゆえ、スペックや使用感などを把握しているユーザーは多いと思われる。しかし、VAIO Xの位置づけを正確に理解している人は意外と少ないのではないだろうか。Netbookの進化版? モバイルサブノート(CULVノート)の仲間? VAIO Pの別バージョン?

もしも作り手が洋楽バンドのフロントマンなら皮肉混じりにこう答えただろう。「俺たちの作品をカテゴライズすることなんてできない。もしチンケな批評家が無理矢理枠にはめたのなら、それはそいつの頭の出来の悪さを証明しただけのことさ」――実際の生みの親であるソニーの林氏も丁寧な口調で似たような説明をする。「使った材料でカテゴライズするのは嫌いなんですよね。NetbookというのはCPUにAtomを使ったパソコンのカテゴリです。しかし、商品は本来何かをするためにあるもの。VAIO Xは常に持ち歩いて気持ちよく仕事をしてもらうために開発し、現実的なお値段で提供しました。それ以上でもそれ以下でもない、そのための道具なんです」

つまるところ、VAIO Xには想定されたカテゴリが存在しないのだ。では、いったいどんな製品として付き合えばいいのか。どんなコンセプトで開発されたのか。先述の林氏とソニーの星氏の両名に、VAIO Xに結実させた"狙い"を伺った。

ソニー株式会社 ネットワークプロダクツ&サービスグループ VAIO事業本部 第1事業部 1部 1課 統括課長 林 薫氏(左)と、同 企画戦略部門 企画部 PC&Peripheral課 星 亜香里氏(右)