ついでに内部構造についても簡単に紹介しておきたい。基本的な構造は従来のRadeonと同じであるが(Photo12)、倍以上に増えたトランジスタがそのまま演算ユニットの数に反映されているのが判る(Photo13)。フロントエンド(Photo14)やThread Processor(Photo15)、Texture Unit(Photo16)はDirectX 11の新機能にあわせて強化されている。細かいところでは、Anisotropic Filterが改良された(Photo17)。またバックエンドの性能も大幅に強化され(Photo18)、この結果例えばMulti-Sample Anti-Aliasにおける性能の落ち込みが少なくなったとしている(Photo19)。

Photo12: Radeon HD 4800シリーズの内部構造はこちらを参照のこと。

Photo13: ダイサイズは334平方mmとちょっとだけ以前より大型化。

Photo14: ちなみにSP数の倍増にあわせて、性能そのものもRadeon HD 4800のものより強化されているとの事。

Photo15: 5つのStream Coreで一つのSIMDユニット(Thread Processor)を構成するという構造は従来までと同じである。

Photo16: こちらも順当に性能強化。Radeon HD 4000シリーズの構成はこちら

Photo17: 右側の様な図形でもうまくフィルタリング出来るようになった、としている。

Photo18: 絶対的な帯域という意味ではRadeon HD 4870が3.6Gbps、Radeon HD 5870が4.8Gbpsで、どちらも256bit Busだから33%のアップでしかないが、より効率的に帯域を使えるようになったという事になる。

Photo19: これは4xAAを基準に、8xAAにするとどの位性能が落ちるか、を比較したもの。比較対象はGeForce GTX 285であった。

メモリコントローラに関しては、GDDR5のデータレートが4.8Gbpsと高速化したことに対応してECCでの保護が追加されたり、温度/電圧/タイミング補正機能がついたりしている点が興味深い。さすがに信号的にそろそろ厳しい領域に入ってきたことを伺わせる。

Photo20: メモリコントローラが4ブロックに分かれているあたりは従来と同じ構成。

またGPGPUの用途としては、IEEE754-2008及びOpenCL 1.0に対応すると共に、いくつかの追加機能が用意されている事も明らかにされた(Photo21)。

Photo21: この"Additional Functionality"が、PCI Express Revision 2.1で追加された幾つかのシステム同期メカニズムに沿ったものかどうかは、現時点では不明である。

そして消費電力関係であるが、低電圧モードを活用するなどにより、フル稼働時もさることながら、特にアイドル時の消費電力低減を実現したとしている(Photo22)。

Photo22: Radeon HD 4800シリーズも、ATI PowerPlayによりGPUの負荷にあわせて動作周波数を変化させることで低消費電力化を図っていたが、更に積極的に低消費電力化のメカニズムを搭載したそうである。