これに続く、『TRアンダーワールド』は、燃えさかるララ・クロフト邸から始まる。ララ・クロフト邸を爆破したのは……ララ自身にそっくりだったと目撃者は口を揃える。『TRA』をプレイしていれば、何となく想像はつくはず。そう、犯人はアイツに違いない!

そして一方、『TRL』でララと死闘を繰り広げた宿敵アマンダは、なんと! ナトラを誘拐するという行動に出る。アマンダは神をも殺すと言われる北欧神話に描かれている「トールのハンマー」が強大な力を持つ古代兵器であると憶測し、これを我がものにせんと画策しているのだ。一方、囚われの身となったナトラは、「トールのハンマー」探索に協力すると見せかけて、今回も恐ろしい策略を脳裏に描き始めている……というお話。

そう、『TRアンダーワールド』は、このように『TRA』と『TRL』の悪役が総出演するのである。ストーリー展開の基軸は本作でも、消えた母親の謎の解明、アマンダとの確執、ナトラの思い描く陰謀にあり、それまでの「トゥームレイダー」シリーズよりも「サーガ」的なコンセプトを色濃く出してきている。

逆に、『トゥームレイダー2』から『トゥムレイダー6』までは、本作とほぼ無関係だ。しかし、どれも名作だし、せっかくの機会なので簡単に紹介しておこう。

『2』(1997年)は、古代中国の皇帝が侵略戦争に使っていたという、龍の力を操れる宝剣を巡るお話。ララは、恐怖のカルト教集団とこの宝剣を争って主にアジア系の地区の遺跡を冒険する。

『トゥームレイダー2』(1997年)
Copyright (C) Core Design Limited, 1997
Published under license by Victor Interactive Software Inc.
Tomb Raider and Lara Croft are trademarks of Core Design Limited
All Rights Reserved.

『3』(1998年)は、人類史以前の太古に落下したという、生命を進化させる神秘の隕石を巡る話。現代ロンドンやエリア51などの遺跡でない、近代ハイテク施設で墓荒らし(?)をするのが特徴的な作品だった。

『4』(ラストレベレーション、1999年)では、ララはエジプトの古代遺跡で、いつものような遺跡探索の末、発見した魔除けが偶然にも邪神セトを復活させてしまって、さあ大変というお話。この作品では、ララは自分でやらかした"うっかりミス"の尻ぬぐいに奔走することになる。立ち塞がるのは、ララの考古学の師であるワーナー・フォン・クロイ博士。この作品では16才のツインテール(!)の女子高生(!)のララ・クロフトを操作して、クロイ博士の指示に従ってプレイするチュートリアルシーンがあり、話題となった。

『トゥームレイダー4:ラストレベレーション』(1999年)
TOMB RAIDER:THE LAST REVELATION (C) AND tm CORE DESIGN LIMITED 1999-2000.
(C) 1999-2000 EIDOS INTERACTIVE LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.
Published under license by CAPCOM CO., LTD.

『5』(クロニクル、2000年)は、「ララの葬式」というショッキングなシチュエーションから始まる。ゲームプレイは過去のララの活躍を追悼するような形で、各ステージはストーリー関連の薄い独立した形になるが、『4』のラストで消息不明となったララがどうなったのかが判明する。『4』のクロイ博士は『5』にも登場。『1』から使い続けられたゲームエンジンが『5』で最後となり、その記念としてなのか、自由にTRステージが作れるエディタソフトがおまけで付属した。

『トゥームレイダーV:クロニクル』(2000年)
TOMB RAIDER:CHRONICLES (C) AND TM CORE DESIGN LIMITED 2000‐2001. (C) 2000‐2001 EIDOS INTERACTIVE LIMITED.ALL RIGHTS RESERVED. Published under licence by CAPCOM CO.,LTD.

『6』(美しき逃亡者、2003年)は、ララに殺人容疑が掛けられるというこれまたショッキングな始まり方をする。殺されたのは『4』『5』で敵となったクロイ博士。ララは自分の潔白を証明するためにパリの街を駆け巡り、謎の連続殺人鬼「モンストラム」の影を追う。『6』では超能力を使うキザなヒーロー、カーティス・トレントが登場して、ララといい雰囲気になったりすることに賛否が巻き起こった。また、ゲームエンジンが一新され、プログラマブルシェーダ・ベースの近代グラフィックスへと進化。いろいろな意味で革新に挑んだ作品だったが、それが裏目に出てしまったのか、当初作られる予定だった続編も中止となる。カーティスとララのラブラブ・アドベンチャーは未完となってしまった……。

『トゥームレイダー・美しき逃亡者』(2003年)
(C) Core Design Limited, 2002-2003. Lara Croft, Tomb Raider and Core are resistered trademarks of Core Design, Ltd.

整理すると、『1』『2』『3』はそれぞれが独立したお話で3部作として捉えられ、『4』『5』は2部作、『6』は前二作と関連を持つ新シリーズとしてスタートしたが、事実上の中断。『1』を膨らませて新たな続編シリーズを展開しているのが『TRA』。その続編が『TRL』と『TRアンダーワールド』ということになるわけだ。

『1』~『6』までの開発を手がけた英CORE DESIGN社は『6』の不評の責任をとらされた形で2006年に解散。『TRA』『TRL』、そして今作『TRアンダーワールド』の開発は米Crystal Dynamicsへと変更されている。なお、ハリウッド映画版の『トゥームレイダー』はララ・クロフトというキャラクターは同じだか、ゲーム本編とは無関係だ。

(次ページへ続く)