また、基調講演では、キーワードのひとつとして、Windows7 Experienceをあげ、「Windows 7では、幅広い選択の可能性を創ることを目指し、さらに、この実現手法として、デバイスのエクスペリエンスの対応、いろいろなシーンに適したPCやハードウェアのデザイン、プラットフォーム新技術の採用を目指す。ロケーションセンサーやライトセンサー向けのAPIを用意するなど、新たな利用の提案が行えるようになる」などとした 。 Windows 7のリリースに向けた取り組みとしては、この日、参加者に対して、社内の呼称でM3(マイルストーン3)と呼ばれるプリベータ版を配布。さらに、E7と呼ばれるWindows7開発者によるブログを公開していることを紹介した。「E7は、今年夏にスタートしたブログであり、日本語版もある。ぜひこのブログを通じて意見をほしい」とした。

今後は、来年1月にもベータ版を提供する予定であることや、フィードバックツールの提供、カスタマエクスペリエンス向上プログラムの実施を行うことを明らかにし、そののちにRC版、RTM版の提供につなげていくという。

陣内氏は、基調講演終了後の会見で、Windows7のフットプリントについて言及。「いまは、より小さなフットプリントで対応するための努力している。Vistaではプリンターのドライバだけで300Mを超える。これはユーザーにすぐに使ってもらえることを目指して、5000機種以上のドライバを用意しているため。だが、ユーザー1人が利用するのは多くて数機種のプリンタ。古いものは外していくということも必要だろう。Windows 7では、2-3年前までの主要メーカーのものは用意するが、あとはWindows Updateやクラウドを利用したオンラインでの自動的なダウンロードということも考えられる。16GBのネットブックに対応できるかどうかはわからないが、広いレンジのPCに対応することを目指している」などとした。

アイ・オー・データ機器 執行役員開発本部長 平野義久氏

また、ハードメーカー代表として、アイ・オー・データ機器の平野義久執行役員開発本部長が出席。「デバイスステージのように、これまでは埋没していたものが、見えるような形でユーザーと接触できるようになる。当社としてもかなりの量のメタデータをすでに提供している。また、Windows 7では、DLNA1.5をサポートしており、テレビや家電と、PCをつなぐ役目をコミットしている。当社でもNASやセットトップボックスを開発しており、Windows7を搭載したPCが、データやメディアをコントロールする役割を担う。これにより、ホームネットワーク環境において、周辺機器が役立つような世界がやってくる」と、Windows 7への期待を述べた。

基調講演の最後に、陣内氏は、ハードメーカーの皆様への7つのお願いとし、「ハードウェア/デバイスサポートの新しいAPIの評価」、「新しいハードウェアエクスペリエンスの開発」、「Windows 7の新しいデスクトップとの融合」、「WinQualによるクラッシュの解析と問題の修正」、「WHDCによる、Windows Performance Toolkitの利用やAppVerifierとDrive Verifierの実行、インストーラーでのOSバージョンのチェック」、「64ビットのサポート」、「Windows Ecosystem Readiness Programへの参加」を促した。

なお、基調講演では、同時に開発が進められているWindows Server 2008 R2についても触れた。Windows Server 2008 R2では、256個までのロジカルプロセッサへの対応のほか、64ビットのみのサポート、消費電力の効率化、仮想化の強化がポイントだとした。 マイクロソフトによると、Vistaによる64ビット化の立ち上がりが見えており、10月時点での64ビット比率は、全世界で10%に届くところにまで来たという。とくに、米国では25%に達しているという。