「海外でケータイを使うには端末をレンタルする必要がある」というのは、もはや過去の常識。海外と規格を揃えた第3世代(3G)携帯電話が普及している今、「国際ローミングは自分の端末で」が当たり前になりつつある。では、国際ローミングを行うにあたって、どのような端末を選べばよいのか。料金体系はどうなっているのか。設定はどうすればよいのか。このような疑問にお答えする、「国際ローミングの決定版」をお届けしよう。

端末の"規格"で決まる国際ローミング対応国

第2世代(2G)携帯電話の全盛期、日本で使われている端末を海外に持ち出せなかったのは「PDC」と呼ばれる通信方式のためだ。これは日本独自の規格で、海外で普及している「GSM」方式と互換性がない。NTTドコモの「mova」や、ソフトバンクモバイルの「ソフトバンク2G」がこれに当たる。しかし、今や2Gケータイは普及率で過半数を割り、新製品の供給もストップしている。代わって主役に躍り出たのが3Gケータイ。ドコモの「FOMA」とソフトバンクの「ソフトバンク3G」には、世界共通規格の「W-CDMA」方式が使用されている。つまり、海外渡航時にも、普段使っている端末をそのまま利用できるのだ。

とはいえ、3Gケータイの普及度合いで言えば、まだまだ日本がリードしている状況。3Gを導入している国であっても、通信できないエリアは多い。先に述べたように、海外で主流の規格はGSMだ。そこで、ドコモやソフトバンクの端末の中には、国際ローミングを見越してGSMに対応しているものがある。ドコモであれば、最新の905iシリーズやiGシリーズ、一部のSIMPUREシリーズがそれだ。

ドコモの905iシリーズは全機種国際ローミング対応。そのうち、SH905iTVとP905iTVを除く8機種でGSMローミングを利用できる。3Gローミングは905i全機種対応

ソフトバンクは端末ごとに異なるが、ボーダフォン時代からの流れで、国際ローミング対応機種はすべてがGSMを搭載している。

ソフトバンクの国際ローミング端末は、全機種3GとGSMの両対応。冬モデルの国際ローミング機は、920SH、920SC、820P、821Pの4機種

これらの機種を使用すれば、3Gローミングのみの機種よりも利用可能国ははるかにに多くなる。ドコモでは、3Gローミングのみの場合51の国・地域で通話できるのに対し、GSMが加わると155に対応国・地域が広がる。ソフトバンクの対応国・地域も179と多い。ドコモとソフトバンクのユーザーは、渡航予定地で使われている通信方式と、所有している端末の通信方式が合致しているか、まずはこの点を確認したい。「国際ローミング対応」をうたっている機種でも、W-CDMAによる3Gローミングだけということがある。渡航前に通信方式をチェックしておけば「いざ海外に行ってみて、通信ができなかった」という失敗を避けることができるだろう。

また、FOMA(2005年9月以降)やソフトバンク3Gの契約時にあえて"不要"と申し出ていなければ、通常は国際ローミングサービスが有効になっているが、2005年8月以前にFOMAを使い始めたユーザーや、契約時に国際ローミングを不要としていた場合、申し込みが必要となる。ドコモ、ソフトバンクとも月額料金は不要なので、将来国際ローミングを利用する可能性が少しでもあれば、忘れないうちに申し込みをしておくのがよいだろう。それぞれ「ドコモeサイト」または「My DoCoMo」、「My SoftBank」などからオンラインで手続き可能だ。