一方、auは少々特殊な事情がある。auで使用されている規格は、同じく3Gだが、ドコモやソフトバンクとは異なり、「CDMA2000 1x」と呼ばれるものだ。さらにauの端末は、諸外国と上り・下りの周波数が逆転しているため、規格が同じでも、そのまま国際ローミングをすることができない。auでは、海外でそのまま使用できる端末を「GLOBAL PASSPORT」と名付けているが、このシリーズの端末だけは、海外利用時に周波数を合わせる仕組みが採用されているのだ。

auは、通信方式の関係で自端末ローミングできる機種が少ない。現行モデルはこのA5527SAのみだ

さらに、通信方式が世界の主流ではないため、対応国も25と少々寂しい。利用エリアを考えると、GSMケータイをレンタルなどして使う「GLOBAL EXPERT」を検討した方がよさそうだ。

日本独自の技術であるPHSを使用しているウィルコムは、au以上に特殊だ。PHSはタイや台湾、中国などで利用されているが、国際ローミングが可能なエリアは、台湾とタイのみ。対応国はケータイに比べると少ないが、コードレス電話を拡張する形で開発された独自技術ゆえに、後述するような料金的メリットがある。対応機種は主要な音声通話端末およびほとんどのデータ通信カードだが、W-ZERO3シリーズなど対応しないものもある。なお、国際ローミングの利用前にサービスセンターへの申し込みが必要となる。

ウィルコムは主要な音声端末で国際ローミングが可能だが、W-ZERO3シリーズや9(nine)など対応しないものも

以上の点に注意して、まずは自分の端末が国際ローミングに対応しているかどうかを確認しよう。なお、国際ローミングは最終的に、日本・現地それぞれの携帯電話事業者同士で"取り決め"が必要となる。通信方式が合致しているのに、国際ローミングができない地域が存在するのはそのためだ。対応国は日々更新されている。渡航前には、以下のサイトを必ずチェックしておきたい。

各社のローミング対応国
ドコモ http://www.nttdocomo.co.jp/service/world/roaming/area/
au(GLOBAL PASSPORT) http://www.au.kddi.com/kaigai/gp/world_area/
ソフトバンク http://mb.softbank.jp/mb/service/3G/global_service/roaming/
ウィルコム http://www.willcom-inc.com/ja/service/roaming/area/

国際ローミング対応機種を使っていない場合は、次に紹介するように端末のレンタルサービスを利用することで、普段の電話番号のまま海外でもケータイを使うことができる。