中国のオンラインゲームメーカー久遊網はこのほど、同国で人気の高いオンラインダンスゲーム「Audition」(日本では「ダンシングパラダイス」としてネクソンジャパンが運営)の国内独占運営権をめぐり、開発元の韓国T3 Entertainment、海外版権を持つYedang Onlineと争っていた件について、和解に至ったと発表した。3社はすでに、Auditionの中国での独占運営継続議定書を締結。久遊網は2010年8月までAuditionを運営することになった。

Auditionは歌って踊れるダンシングゲーム。久遊網のもっとも重要な収入源でもある。しかし今年7月中旬、Yedang Online、T3 Entertainmentの両社は契約存続期間中に売上金の虚偽報告と、Auditionのロイヤルティ支払い拒否などを理由に、久遊網に未払い分のロイヤルティの支払いとAuditionの運営停止を求める通達を出した。

これに対し久遊網は、T3 Entertainmentが久遊網の日本での株式上場という大切な時期に経営に打撃を与えようとしていると強硬に反発した。Yedang Online、T3 Entertainmentの両社はその後、「Audition2」の運営権を第九城市に与えるとともに、2008年8月にAuditionの運営契約が終了すれば、ふたたび継続契約を結ぶことはないという姿勢を示していた。

今回の紛争は、実はAudition系ゲームの市場での主導権争いだと断じた業界筋もいる。久遊網はAuditionに類似した「超級舞者」を開発しており、超級舞者はAuditionの競争相手となっていた。しかし中国大陸では、オリジナルゲームが不足しており、巨大な市場が魅力的だ。韓国ではゲームメーカーにオリジナルゲーム作品の創造力があるが、市場が不足している。これが、これまでの中韓両国ゲーム産業協業モデルの成功の背景にあった。

久遊網が発表した声明によれば、3社は共同発展のため意見の食い違いを解消し、友好協力関係を回復した。さらに久遊網は、Yedang Onlineと戦略的パートナーシップを締結、Auditionの中国市場でのさらなる発展を推進していくという。

久遊網董事局主席兼総裁の王子傑氏は、「Yedang Onlineと戦略的パートナーシップを組むことで、Win-Winの協力関係を構築していきたい。Yedang Onlineとの強強連合を通じ、Auditionを中韓企業協力の模範にしていく」と述べた。今回3社が和解に至ったことで、久遊網は日本での株式上場計画を実行に移す可能性が出てきた。

久遊網は中国のネットゲーム業界をリードする企業で、ダンシングゲームの運営キャリアとしては世界最大規模。今年5月末までの久遊網の登録ユーザーは2億人を突破、同時オンラインユーザー数は平均100万人を超えているという。