暗くなる車内で明かりを補う

外部ストロボを使うことで、どういった効果があるかを見ていこう。最初は普通の使い方、暗い場所で光を補う方法だ。

下の写真は、晴天下のクルマの車内での撮影。外が明るいため、普通は車内が真っ暗に写ってしまう。そこでストロボを使えば乗っている人もちゃんと撮影できる……、と思ったのだが、意外に人物が暗くなってしまった。発光補正は行なわず、内蔵ストロボ・外部ストロボとも±0のまま撮影した。それでもストロボなしの状態よりもはるかに人物がきれいに写っている。

また、本体ストロボだけの写真と外部ストロボ併用を比べると、前者は顔がフラットに見えるのに対し、外部ストロボ併用のほうが立体感がある。向かって左下にストロボを置いたので、下から照らした写真特有の影の付き方になったが、場所をもう少し工夫すればもっとキレイに写るはずだ。

ストロボなしで。プログラムAEのまま撮影。顔が真っ黒になっている

内蔵ストロボのみ使用。少し顔が見えてきた。設定はストロボなしと同じ

外部ストロボ併用。発光量の補正はしていない。工夫すれば、もっと明るくできるはず

夜景はスローシンクロで撮影

次は夜景+人物の撮影。よくあるストロボの使い方だ。内蔵、外付けにかかわらず、普通の設定のまま撮影すると背景が真っ暗になってしまう。シャッター速度が速すぎ、背景の光が拾えないためだ。ストロボを発光させつつシャッターを長く開ける「スローシンクロ」という方法が必要になる。成功例はシャッター速度2~4秒で撮影しているが、手持ちで撮影しているため、ずいぶんブレている。やはり三脚を使うべきだろう。また、D80のシーンモードには「夜景ポートレート」がある。自動でスローシンクロをやってくれる便利なモードだが、このモードではワイヤレスストロボが使えない。

何も考えずストロボを使うと、背景は何も写らず、真っ暗になる

カメラの設定をスローシンクロにすると、背景までキレイに写る

これは4秒。さすがに手持ちでは無理なようで、背景がブレてしまった

目に白い点を入れるアイキャッチ

「アイキャッチ」がどう入るかも試してみた。アイキャッチというのは人物などの目にレフ板やストロボの光を写り込ませ、白い点を入れること。目が生き生きしてくるため、ポートレート撮影ではよく使われる手法だ。下の写真がその例だが、目の中に白い点がふたつ入っているのがわかるだろうか。これは内蔵ストロボと外部ストロボの両方を使っているため。しかし、ストロボなので仕方がないが、ずいぶんアイキャッチが小さい。これだけ天気がいいなら、やはりレフ板でアイキャッチを入れるべきだろう。

今回は撮影していないが、スタジオの製品撮りなどでよくあるのは、エッジを強調するためにわざと線状に白飛びさせて、白いラインを入れる手法。これを"ハイライトを入れる"という。それとはちょっと違うが、後半のページでは部分的に白飛びさせることも試している。上手い呼び方がないので、とりあえずここでは"ハレ"と呼んでいる。

目の中に白い点が見える。これがアイキャッチ

ワイドパネルの効果を見る

外部ストロボ「SB-600」にはワイドパネルが付いている。発光部の前に引き出し、光を拡散するパネルだ。よく、これを光を柔らかくする効果があると思っている人がいる。つまりストロボの前にトレーシングペーパーを引くような感じだ。しかし本当のところは照射角を変えるだけ。ワイドパネルなしの状態で最大24mmの照射角なのだが、これが14mmまで広がる。そのぶん最大光量は下がることになる。

それを確認したのが下の写真。ワイドパネルの「あり」「なし」で、影の付き方はほとんど変わらない。「あり」にすると照射が広くなるために、バック紙が明るくなるぐらい。光を回り込ませ、影を柔らかくするならバウンスさせるのが確実だ。

左手前に外部ストロボを置いて撮影。内蔵ストロボも使用。光量の補正はしていない

左の写真と同じ状態で、ワイドパネルだけ変更して撮影。バック紙の明るさ以外、変わらない

外部ストロボを上に向け、紙に反射させて撮影。影の付き方が柔らかくなった

天井が遠いため、写真のようにストロボの光を白い紙にバウンスさせて撮影した