IDCによると2007年第1四半期、全世界の携帯電話出荷台数は2億5,460万台に達した。過去最高の出荷台数2億9,490万台を記録した2006年第4四半期より減少したが、これは季節要因によるもので、前年同期比では10%増と引き続き好調な伸びを示している。市場を牽引する大手端末メーカー5社の今期決算を見ると、各社の好不調がはっきり分かれる結果となった。


フィンランドのNokiaの出荷台数は9,110万台と前期(2006年第4四半期)の1億台を下回ったものの、前年同期からは21%増加となりマーケットシェアは36%に上昇した。地域別では北米向けの出荷数が半減したものの全体の割合では約5パーセントにすぎず、他の地域では全て出荷数が増加している。特筆すべきはコンバージドデバイス = スマートフォン系の製品で、今期のNokiaは1,180万台のコンバージドデバイスを出荷した。ちなみに業界全体では2,350万台が出荷されており、その約半数をNokiaのデバイスが占めたことになる。

一方、端末の平均単価は89ユーロで、前年同期の103ユーロより低下した。ただしNokiaの製品は多岐にわたるため、一概に全体の単価が下落したとは判断できない。Nokiaの端末事業はMobile Phone、Multimedia、Enterpriseの3セクションに分かれているため、各セクションごとに事業動向を判断するべきだろう。

Mobile Phone事業部は新興市場向けのエントリー向け端末が大幅に増加している。スタイリッシュ端末Nokia 6300や、音楽携帯であるNokia 5700のような端末単価の高い新製品も登場したが、それ以上に低価格端末の販売数が大きな伸びを示したようだ。全売上高は56億ユーロと前年同期比5%減となったが、新興市場でのシェアが拡大していること自体は事業全体としてプラスと判断できるだろう。

Nsereisが好調なMultimedia事業部の売上高は23億ユーロ、利益は4億2,300万ユーロだった。前年同期比でそれぞれ28%、31%増であり、利益率のほうが高い伸びを示しているのはよい傾向だ。ベストセラーとなっているN70、N73が引き続き好調であり、今期はNseries全体で800万万台弱を出荷している。またEnterprise事業部は2世代目のEseries、E65が好調な出だしを切るなどヨーロッパでは前年比倍の伸びを示しているとのこと。Eseriesの今期出荷台数は100万台を超えている。

このようにNokiaはNseres/Eseries及びスマートフォン系のハイエンドモデルが出荷台数と利益を伸ばしており、また新興市場向けのエントリーモデルがそれを上回る伸びを示している。次期も多くの新製品が登場する予定で、引き続き好調な結果が見込まれるだろう。