非対面取引のサービス営業を強化する株式会社常陽銀行は、リスティング、リターゲティング、ディスプレイ広告など、Web広告を活用したさまざまな集客活動を展開し、非対面チャネル推進を進める中で、「広告の無駄打ち」や、マーケティングタグの管理、プライバシー規制対応などに課題を抱えていた。

同行は、いかにしてこの課題を解決し、15.3%の広告コストの抑制や、営業戦略と紐付けた形での改正個人情報保護法への対応を実現したのだろうか。

経営に大きなメリットをもたらしたという、同行の取り組みに迫る。

非対面取引サービスにおける3つの課題

ITサービス・データの利活用は、重要な経営テーマの一つだ。茨城県水戸市に本店を置く常陽銀行*でも、非対面取引サービスの拡充に取り組んでいる。ダイレクト営業部 企画グループ 次長の丸岡政貴氏は「マイカーローンのWeb契約率は、2020年度で95%に達し、2021年3月にリリースした新バンキングアプリも、開始から7カ月で足利銀行と併せて50万ダウンロードを超えています」と語る。

*2016年10月に足利銀行と経営統合して持株会社「めぶきフィナンシャルグループ」の傘下となった。

非対面取引のサービス営業では、リスティング、リターゲティング、ディスプレイ広告など、Web広告を活用したさまざまな集客活動を展開しているが、非対面チャネル推進の中で大きく3つの課題を抱えていた。

課題1:Web広告によるローン商品獲得効率の向上

Web広告は強力な媒体である一方、申込みの可能性が低い訪問者に広告を出し過ぎると、ブランドイメージを毀損しかねない。最適な顧客体験を実現するためには、訴求頻度や表示回数を考慮し、適度な距離感を保つことが必要となる。

ビジネス面で見てもWeb広告はクリック課金(成果報酬型)が多く、申込み行動と因果関係がないシーンで何度もクリックされると広告効率は悪化する。「広告の無駄打ち」をなくすためには、必要最低限のクリック数でCV(申込み)を獲得できるような工夫を施す必要があった。

課題2:マーケティングタグの管理・整理

非対面マーケティングの実施にあたり、同行はWebサイトにさまざまなタグを設置してきた。タグは、施策に関与する担当者や広告代理店がタグマネージャー、HTML直貼りで独自に設置していたため管理できずに自ずとタグが増えてしまっていた。ソースコードを見ただけでは広告や分析ツールに及ぼす影響が把握しにくく、削除するにも影響範囲を確認する負担が大きい。タグを放置したままではWebサイトの読み込みスピードが低下する恐れもあり、管理効率の向上が課題となっていた。

課題3:プライバシー規制(改正個人情報保護法)への対応

Webサイト利用時のユーザーのプライバシーを守る改正個人情報保護法が2022年4月から全面施行され、今後はCookie利用の規制及び同意取得が段階的に強化される。これに伴い、ユーザーへのプライバシーポリシーの理解を促しつつCookieを用いたマーケティングの実施において、同意を取得しておく必要が生じた。

導入の決め手は”媒体をまたいで管理できるWeb広告配信制御”

上記3つの課題解決に向けて同行は数社の関連ソリューションを調査し、その中から「ティーリアム カスタマーデータハブ」を採用した。

「一番の決め手は、広告の無駄打ちを防ぐ機能が当行の課題に合致したことです。他社製品では媒体をまたいで管理することができませんでしたが、Tealium AudienceStreamでは、バッジ機能により媒体を横断した総クリック回数基準で上限を設定することができます。また、申込み済のユーザーを識別し、一人ひとりのステータスに応じて、リアルタイムに広告配信をコントロールすることができます。これらにより、大きな負荷をかけることなく広告効率の向上が期待できると判断しました」(丸岡氏)

タグ管理においては、Tealium iQタグマネージャーにてタグの稼働と停止を一括で管理することできる。プライバシー規制に対しても、タグマネージャーの標準機能でCookieの同意管理機能を装備しており、将来的な法改正にも柔軟な対応ができる。

「当初は、Web広告獲得効率の向上のみを目的にティーリアムの採用を検討していましたが、話を聞いていくと、タグ管理とプライバシー規制への対応も同時に解決できることがわかり、結果として一石三鳥となりました」(丸岡氏)

導入から3カ月でWeb広告費を15.3%抑制などの成果

ティーリアムの採用決定後、3カ月後の2021年6月から利用を開始し、以下のような成果を得ている。

施策1:Web広告によるローン商品獲得効率の向上

通年でニーズがあるマイカーローンのWeb広告において、同行Webサイトへの流入回数(=広告クリック数)を最適化した。Tealium AudienceStreamでは、ユーザー単位の流入状況を媒体横断でリアルタイムに判別し、最適な表示回数に制御できる。たとえば、通常なら1媒体あたり広告クリック数を5回までと制限しても、3媒体あれば最大15回の広告経由の訪問となるが、ティーリアムなら3媒体全体で5回までと制限ができる。

同行では流入上位のGoogleとYahoo!の2つの広告媒体に対して最適化を実施した結果、導入から3カ月でWeb広告費を15.3%抑制することができた。ダイレクト営業部 企画グループ 主任調査役の市川友英氏は「これにより申込みの可能性の低いユーザーに対する過剰な広告表示が減り、獲得効率向上とともに不快な思いをさせるリスクも軽減できました」と語る。

  • Web広告によるローン商品獲得効率の向上

施策2:マーケティングタグの管理・整理

タグマネジメントをTealium iQに統合するのと並行して既存のタグを整理した結果、これまで約150本あったタグが40本程度まで削減された。その時点でTealium iQで管理しているタグは6本だったが、2022年3月までにタグの挙動チェックをしながら広告タグを移行するべく進めてきたという。

「タグの整理は、代理店や過去の施策担当者に聞きながら精査し、地道に進めていきました。タグマネージャーの一本化で今後の運用管理はかなり楽になり、無駄なタグの増加も抑制できると期待しています」(市川氏)

  • マーケティングタグの管理・整理

施策3:プライバシー規制(改正個人情報保護法)への対応

まずはマイカーローンのページから同意画面の表示を実施した。開始から6カ月が経った現在も、ユーザーから同意画面に関する苦情や問い合わせはなく、サイトの利用やローンの申込みなどの営業業務に影響は出ていないという。

「おそらく、同意取得に対して世の中の理解が進んでいることが要因かと想像しています。今後、他のローンページでも状況に応じて同意画面の表示を考えていきます」(丸岡氏)

  • プライバシー規制(改正個人情報保護法)への対応

デジタルマーケティング施策を大きく前進

現在、ティーリアム カスタマーデータハブをメインで利用している市川氏は、操作性の高さとサポート体制を高く評価し、次のように語る。

「外資系のツールでありながら、日本人にもわかりやすく、ストレスを感じることはありません。設定で困った時もティーリアムの担当者のみなさまに丁寧に対応していただけていますし、隔週のミーティングでこまめにコミュニケーションを取っています。タグの移行時には設定画面のキャプチャが入ったマニュアルを提供いただき、作業もスムーズに進みました」

ビジネス面での貢献も大きく、さまざまな課題解決により、同行のデジタルマーケティング施策が大きく前進した。

当面の課題解決が見えてきた同行だが、今後はデジタルマーケティング基盤としての利用価値を高める取り組みを進めていく考えだ。具体的には、Tealium AudienceStreamのバッジ機能を利用して、ユーザー一人ひとりの属性をリアルタイムに更新しながらWeb広告を最適化する施策の追加やWebサイトと同行保有データを連携させた施策の実施、バナー配信の強化だ。

市川氏は「一般的に銀行のローン商品はわかりづらいため、詳細な情報を伝えることでお客様の理解を深め、成約に繋げていくことが目標です。その前段階のニーズ発掘において、ティーリアムを積極的に活用していきます」と語る。丸岡氏も「ティーリアムのサービスはポテンシャルが高く、これらの機能を十分使いこなせるようになりたいと思います。そのためにも、さらなる支援をお願いします」と期待を寄せている。

[PR]提供:Tealium Japan