株式会社インターネットイニシアティブは 1992 年の創業以来、ネットワーク・クラウド・セキュリティなどのコア技術を軸に、法人向けのネットワーク・IT サービスを提供し続けてきました。「自己実現する職場の提供」という経営理念を掲げ、オフィスとテレワークが共存する「ハイブリッドワーク」の実現を目指す同社では、オフィス・テレワーク環境間におけるコミュニケーション面の課題を払拭するため、オフィス会議室に設置する会議システムの刷新に着手。テレワーク環境で採用されている Microsoft Teams との連携に優れた Microsoft Teams Rooms を採用し、シームレスなハイブリッドワーク環境の実現を目指しています。

ハイブリッドワークの実現に向け、Microsoft Teams とシームレスに連携するビデオ会議室ソリューションの導入を検討

ネットワークやクラウドなど社会システムの基盤を支えるコア技術と IT サービスを提供し、暮らしやビジネスのデジタルシフトを支援してきた株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は、多様性の実現に向けたワークスタイル変革に以前より取り組んできました。テレワーク導入も早く、昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大、いわゆるコロナ禍対応によるテレワーク利用が拡大する前から、オフィスとテレワーク環境におけるコミュニケーション面での課題に向き合ってきたといいます。同社のオフィスIT環境全体を管理し、テレワーク環境の構築・運用においても中心的な役割を担っている経営企画本部 事業基盤システム部 担当部長の関 一夫 氏は、コロナ禍が社会問題化する以前の 2018 年頃からオフィスの会議システム刷新を進めてきたと語ります。

  • 株式会社インターネットイニシアティブ 経営企画本部 事業基盤システム部 担当部長 関 一夫 氏

    株式会社インターネットイニシアティブ 経営企画本部 事業基盤システム部 担当部長 関 一夫 氏

「テレワークの仕組み自体はコロナ禍以前から構築を進めていました。弊社では『人と人が顔をつき合わせて新しいサービスを開発する』ことを重視しており、テレワーク一辺倒にするのではなく、オフィス環境とテレワーク環境をシームレスに連携させるハイブリッドワークの実現を目指してきました。そのなかで、2017 年に Office 365 を全社導入し、コミュニケーションツールとしてMicrosoft Teams(以下、Teams。当時は Skype for Business)を利用するようになったことで、オフィス会議室に設置しているビデオ会議システムとの連携面での課題が表面化し、Teams との連携を見据えて、会議システムの置き換えを検討しました」(関 氏)。

IIJ では、オフィス会議室を利用したコミュニケーションが企業文化として定着しており、一部の会議室にはグループ会社が提供しているビデオ会議システムが導入されていました。このシステムは各拠点の会議室をつなげることを目的としたものであり、場所を問わずすべてのユーザーが会議に参加できる Teams の Web 会議とはコンセプトが異なります。そういったオフィス会議室のビデオ会議システムと Teams という 2 つの会議システムの混在によってユーザーの利便性は低下し、管理者の負荷も増大。Office 365 のサービスを中心に、テレワークの利便性向上を図る業務を担当している経営企画本部 事業基盤システム部 業務システム運用課の高橋 美帆 氏は、会議システムの複雑化が円滑なコミュニケーションを妨げていた当時の状況を振り返ります。

  • 株式会社インターネットイニシアティブ 経営企画本部 事業基盤システム部 業務システム運用課 高橋 美帆 氏

    株式会社インターネットイニシアティブ 経営企画本部 事業基盤システム部 業務システム運用課 高橋 美帆 氏

「2017 年に Office 365 を導入し、Web 会議の利用を促進してきましたが、当時は Web 会議を日常的に利用する習慣がなく、会議室を利用する従来からのスタイルが踏襲されていました。また、その当時一部の会議室に設置されていたビデオ会議システムは、Teams と相互接続する際の手順が複雑で、会議室と Teams での Web 会議をシンプルにつなげる仕組みの構築が急務となりました。そこで、会議室向けの Web ビデオ会議室ソリューションである Microsoft Teams Rooms(以下、Teams Rooms)に注目し、既存のオンプレミス型のビデオ会議システムとの置き換えを検討していきました」(高橋 氏)。

既存のオンプレミス型ビデオ会議システムは、接続手順の複雑さに加えてリンクできるデバイスの台数に制限があり、接続台数を増やすことで利用料金が増大するといったコスト面での課題も内包していました。さらに、既存会議システムのサービス自体が 2023 年 12 月に終了することが決定しており、長期的に見ると新たなシステムへの置き換えは必然だったと関 氏。そのなかで Teams Rooms を選択した経緯をこう語ります。

「当時は会議室の予約が埋まって業務が停滞するといった課題が表面化しており、場所を問わずに会議が行える Teams の Web 会議への期待が高まっていました。ところが既存のビデオ会議システムは会議室同士、つまり空間をつなげるために導入したもので、人と人とをつなげる Teams での Web 会議との連携に難がありました。Teams の利用を加速させるためには会議室のシステム見直しが不可欠となったのです。また、既存の会議システムは一部の会議室にしか導入できない高価なソリューションだったこともあり、Teams の Web 会議を会議室で行うための製品で、既存システムと比較して安価な利用が可能な、Teams Rooms 端末の採用を決定しました」(関 氏)。

コロナ禍の影響で経営層の Teams に対する認知度が高まり、Teams Roomsの採用を決定

前述したとおり、オフィス会議室に設置したビデオ会議システムの置き換えは、コロナ禍以前の 2018 年 5 月にスタートしました。最初に検証用として導入したのは、Windows タブレットであるSurface Proを組み込んで利用する製品で、トータルコストが上昇するという課題があったと関 氏。「機器をつなげて利用するタイプでコストがかかり、思ったより導入・運用にも手間がかかったため、オールインワンタイプの製品であるレノボの ThinkSmart Hub に注目。2018 年 8 月から実証実験として社内会議室での運用を開始しました。実証によって非常に満足できる検証結果が得られたこともあり、他の Teams Rooms 端末を検証することなく、ThinkSmart Hub の導入を進めていきました」と、レノボの提供する Teams Rooms 端末「ThinkSmart Hub」を採用した経緯を語ります。

導入台数は検証を進めながら徐々に増やしていき、試験運用ではなく実際の業務での利用を拡大させました。そういった確かな実績を積み重ねたうえで、2020 年 9 月に既存ビデオ会議システムからの置き換えが正式決定されました。関 氏は、採用を決定した要因として、コロナ禍により Teams を利用した Web 会議が経営層に認知されたことが大きいと話します。

「コロナ禍への対応策として 2019 年に出社を原則 NG にしたことで、取締役会などの重要会議もTeams で行われるようになりました。その結果、役員、取締役、経営幹部の Teams に対する認知度が急速に高まり、オフィス会議室で Teams を使った Web 会議が行える Teams Rooms 端末への置き換えが正式決定されました」(関 氏)。

こうして、各拠点の会議室で既存のビデオ会議システムから Teams Rooms への置き換えが進められました。実際の導入作業に携わった高橋 氏は、会議室の環境に合わせて端末、カメラ、スピーカー、マイクなどを組み合わせられる ThinkSmart Hub の柔軟性を高く評価しています。

「オフィス会議室の環境を見直すにあたり、もっとも重視したのはコミュニケーションにおける臨場感、すなわち対面会議と同様の目線や、自然に聞こえる音声などを意識し、会議室とリモートワーカーが違和感なく会議を行える環境を作り出すことです。その実現には、会議室ごとに最適な機器を選択し、適切な場所に配置するなど全体を見ながら導入を進める必要があります。その意味でも、さまざまな機器を組み合わせられる ThinkSmart Hub を採用して柔軟な配置が行えたことは、今回の取り組みにおける大きなメリットだと感じています。たとえば弊社の中会議室は、ThinkSmart Hub のデバイス単体での使用範囲規定より少し大きく、ThinkSmart Bar を組み合わせることで音声回りの問題をクリアしています。映像的にも、会議室全体が映り、目前の高さも自然なものにするためカメラを選択し、設置位置も調整。その結果、テレワーク環境からの参加者も自然に会議に参加できるような環境を構築することに成功しています」(高橋 氏)。

Lenovo ThinkSmart Hub for Microsoft Teams Rooms、ThinkSmart Hub 500 といった Teams Rooms端末や、ThinkSmart Bar などの会議向けデバイスを採用し、会議室ごとに最適な組み合わせや配置を模索していったと高橋 氏。「検討段階から導入・運用までマイクロソフトとレノボにサポートしていただき、不具合が発生してもすぐに連絡して対処方法を教えてもらったり、デバイスを交換していただいたりしました。2022 年 1 月からはレノボの担当者と Teams による定例会議を設けていただいており、Teams の Web 会議を利用して、よりスムーズに問題解決が図れるようになっています」と、密接なサポートを喜びます。

  • ThinkSmart Hub for Microsoft Teams Rooms

    ThinkSmart Hub for Microsoft Teams Rooms

国内拠点で 100 会議室への ThinkSmart Hub for Microsoft Teams Rooms を導入済み、働き方の見える化も進めハイブリッドワークの実現を目指す

Teams の Web 会議が社内に浸透したことで、Teams Rooms 端末の導入作業も加速し、現在は拠点を含めて国内で 約 100 台の会議室への置き換えが完了しました。既存のビデオ会議システムは国内で 3 台、海外拠点で 9 台が残るのみとなり、複数の会議システムが混在する状況は改善。ハイブリッドワークにおけるコミュニケーションの一元化に成功しています。社内では Teams による Web 会議を当たり前のように利用するワークスタイルが定着し、会議室という「空間」を起点としたコミュニケーションから、「人」を起点としたコミュニケーションへの意識改革が進んでいるといいます。

高橋 氏は、「オフィス会議室で Teams Rooms 端末が利用できるようになったことで、ユーザーからは出社時でもテレワークでも同じ感覚で会議に参加できると高い評価をいただいています」と本プロジェクトの成果を語り、さらに管理者サイドでも多くのメリットが得られたと力を込めます。

「会議システムを Teams Rooms に一本化できたことで、ユーザーからの問い合わせは激減しました。拠点同士や社外関係者と行う会議のハードルも下がったと感じており、目標としている多様性、柔軟な働き方の実現に向けて効果的な一手になったと考えています。また管理面においては、ThinkSmart Hub の管理ツールとなる「ThinkSmart Manager」を積極的に活用。各拠点の会議室に設置した ThinkSmart Hub の状態を可視化し、PC のブラウザ画面で確認できるようになりました。どのデバイスが会議に参加していて、どういったエラーが起きているのかもリアルタイムで確認できるため、トラブル発生時の初動を大幅に早めることに成功しています」(高橋 氏)。

IIJ では、今後も Teams Rooms 端末の導入を推進していく予定です。これまでビデオ会議システムが導入されていなかった会議室への導入も検討されており、すでに ThinkSmart Hub 端末 40 台の追加導入が決定。将来的には全拠点、すべての会議室で Teams の Web 会議を行える環境の構築を目指しています。また、業務部門からは、オフィスの自部署に Teams Rooms 端末を導入して社外業務との連携を高めたいといった要望も出ているといいます。関 氏は、ハイブリッドワークにおける会議のハードルが下がったことを喜ぶ一方で、業務における会議の割合が高まりすぎることを憂慮しており、働き方の見える化にも着手しています。

「オフィスとテレワーク環境をシームレスにつなげられたことで、会議室の利用状況を気にすることなく、いつでも会議が開催できるようになりました。密接なディスカッションが行えるメリットがある反面、ともすれば一日中会議をしている状況になりかねないため、会議の増加が生産性の向上につながっているかという視点は常に持っておく必要があります。そのため、現在はマイクロソフトの支援を受けながら『Microsoft Vivaインサイト』の PoC を進めており、社内の働き方を可視化することで、ハイブリッドワークのさらなる効率化を図っていきたいと考えています」(関 氏)。

ThinkSmart Hub の配備を拡充したことで、オフィス会議室とテレワークスタイルのシームレスにつなぐ仕組みは構築できたと関 氏。今後は安定的に運用していくかが課題となり、その実現にはオフィス側のエンドポイントである ThinkSmart Hub と、Teams をはじめ、テレワークを支援する Microsoft 365 のサービスをより効果的に活用していく必要があると、ハイブリッドワークの実現に向けた展望を語ります。

「安定運用のアプローチとしては、これまでデバイスの管理に利用してきた Microsoft Intune を Teams Rooms 端末の管理にも適用し、統合的な管理体制を実現していければと思います。Microsoft 365 の提供する機能を効果的に活用することで、Teams Rooms 端末の台数が増加しても管理者に負荷をかけることなく対処できると考えています」(関 氏)。

オフィスとテレワーク環境の共存により働き方の多様化と生産性向上を図るハイブリッドワークを実践する IIJ と、マイクロソフトとレノボの連携により Teams Rooms 端末としての完成度を高めた ThinkSmart Hub。両者が生み出す相乗効果には、今後も注視していく必要がありそうです。

[PR]提供:日本マイクロソフト