Windows 11が2021年にリリースされて早2年半。現在の日本企業における普及率は約半数を下回るといわれている。一方でWindows 10は2025年10月14日にサポート終了を控えており、Windows 11への移行を検討しているものの、手つかずの企業も多いのではないだろうか。

今回の座談会では、マイクロソフトの涌井氏、中森氏、ネットワールドの吉本氏を招き、日本企業のWindows 11の移行状況と課題感、効率的なWindows 11への移行の道筋を明示したうえで、次世代を見据えた業務PC環境のあり方を見出していく。なお、TECH+編集長の小林がファシリテーターを務めた。

座談会メンバー

(写真左から)

株式会社マイナビ TECH+編集長 小林 行雄

日本マイクロソフト株式会社 パートナー技術統括本部 第一技術戦略本部 Surface パートナーテクノロジーストラテジスト 涌井 克浩氏

日本マイクロソフト株式会社 パートナー事業本部 コーポレートソリューション営業統括本部 チャネルセールスマネージャー 中森 勇樹氏

株式会社ネットワールド マーケティング本部 クラウド推進部 クラウドビジネス課 課長 吉本冬輝氏

Windows 11への移行を躊躇、そのわけとは

小林:
Windows 11 2023 Update(バージョン 23H2)からこれまで以上に多様な機能が搭載されてきましたが、そうした状況においてもまだWindows 10が多く企業の中には残っています。日本企業においてWindows 11への移行が進まない理由をみなさんはどのように考えていますか?

涌井氏:
大きく分けてポイントは二つあると思っています。一点目は、Windows 11になってハードウェア要件が大きく引き上げられていることです。新たに生じている脅威に対応するための措置という背景があり、セキュリティ担保という観点から致し方がない部分もあるという点はご理解いただけるものと思います。例えば2017年以前に購入したPCの多くはCPUの世代(Windows 11の要件はIntelの第8世代Core iプロセッサ以降、AMDの第2世代Ryzen以降)、TPM 2.0 への対応の問題などでリプレイスが求められます。加えて、昨今は円安によってPCの価格が高騰傾向にありますので、費用面で躊躇するケースも多いでしょう。

二点目は、やはりWindows 11に移行した際に、既存のアプリケーションが正常に動作するのかどうかを懸念している方が多いことです。お問い合わせ内容を見ていても、日本のお客様がOSアップグレード検討を慎重にお考えであることが見受けられます。

小林:
私もWindows 10 ProのPCを使っていて、OSのアップグレードはギリギリまで待つかとか、何かあった時の検証などのために予備として残しておきたいという考えがあります。やはり企業としてもいままでの環境を維持しておきたいのでしょうね。

涌井氏:
たしかに以前のOS移行作業の際には、アプリケーションの互換性が問題になったケースも少なからず見受けられました。過去の経験をもとに互換性については最大限配慮したうえでリリースされている点をぜひご理解いただきたいです。Windows 10で動作していたアプリケーションの99.7%は、Windows 11でも動作すると試算しています。

小林:
つまり、そこまで移行のハードルは高くないということでしょうか?

涌井氏:
はい、そう考えております。もちろん、100%完全互換というわけにはいかない点も十分理解はしておりますが、その観点からも早期検証を推奨しております。

  • 日本マイクロソフト株式会社 パートナー技術統括本部 第一技術戦略本部
    Surface パートナーテクノロジーストラテジスト 涌井 克浩氏

脆弱性の高まりや端末争奪戦……、移行を先延ばしにするリスク

小林:
Windows 10 のサポート終了が1年後に迫り、企業のWindows 11への移行は評価や検証を考えると、そろそろ着手せねばと個人的に思っています。「サポートが切れる」というのは非常にリスクが伴う部分で、いろいろな問題が発生しやすくなりますよね。セキュリティリスクはどのように捉えておくべきなのでしょうか?

涌井氏:
原則として、2025年10月14日以降はお問い合わせを受けられなくなります。また更新プログラムの提供も、原則提供しないという方針ですので、新たなサイバー攻撃への対応が難しくなるでしょう。

小林:
サポート終了ギリギリまで移行を先延ばしにするとどのようなリスクがあるのでしょうか?

吉本氏:
Windows XPやWindows 7のサポート終了時、お客様ごとにそれぞれの諸事情はあると思いますが、残り2~3カ月という時期に移行作業が集中した印象です。Windows 7のサポート終了時は世界的なCPU不足も重なりましたので、在庫のある端末の争奪戦が激化し、お客様が希望する端末を確保することが非常に困難でした。今回も同じことが起こり得ます。

法人の場合、即断が難しいと思いますので、テストだけでも早いタイミングから取り組むことが重要だと思います。

こんなにラクになるの!? PCリプレイスの負担を効率化するAutopilot

小林:
PCの入れ替えも本当に楽になってきましたよね。Windows Autopilotが出てきたとき、「こんなにラクになるの!?」と驚きました。いろいろなWindowsの移行ソリューションがありますけど、やっぱりオフィシャルは強いですよね。

涌井氏:
そうですね。これまでのPCの展開手法というのは、キッティング部屋に大量のPCを積み上げて、一台一台箱から出して、電源を入れて、あらかじめ作っておいたイメージを流し込んでいくという作業でした。安定した手法ではあったのですが、台数が増えるに従って物理的なスペースが必要になるだけでなく、人海戦術的であり肉体的な負担がかかるという問題がありました。また、キッティング担当者はいやが応でも出社して作業をしなければなりません。これを解消するには、出社しなくてもPCの展開ができるようにしていく必要がありますし、それを実現するのがAutopilotなのです。

また、AutopilotはIT管理者だけでなくエンドユーザーにもメリットがあります。例えば、これまではキッティング済みのPCをIT管理者から受け取る必要がありましたが、Autopilot があれば、出荷されたPCをそのまま自宅に届けて、資格情報を入力すれば業務PCとしてのセットアップが完了します。場所を問わない柔軟な働き方を推し進めていくうえで、Autopilotは必要不可欠なソリューションです。

小林:
Autopilotを活用したPC展開はまだ主流ではないように思いますが、敷居が高いと思われているのでしょうか?

吉本氏:
現状では、活用はまだ一部という印象です。新しい手法ということで不安を感じる方も少なくない状況かと思われます。作業時間/展開コストの圧縮効果は絶大ですので、多くの方々に活用していただきたいと考えております。大手企業向けのソリューションと誤解されている風潮もありますが、IT部門のリソース不足に悩む中堅中小企業の皆様にこそ活用いただきたいですし、実際にお問い合わせも増えてきています。

小林:
やはり企業は手間やコストが気になりますよね。

吉本氏:
Autopilot はMicrosoft Intuneを中心に据えたソリューションとなりますので、経験が不足していると考える方々も少なくないでしょう。当社ではパートナー企業向けにAutopilotの導入支援メニューを用意しています。新たな手法を採用する際の不安要素を軽減するため、環境構築支援から必要ライセンスのアドバイスまで 各種支援策を取りそろえております。

端末入替は今後も定期的に発生するわけですし、毎回キッティング事業者を選定する手間と費用を考慮すれば、Autopilot / Intuneによる端末管理体制を早期に確立することが大きな意味を持つことをご理解いただけると思います。

  • 株式会社ネットワールド マーケティング本部 クラウド推進部 クラウドビジネス課 課長 吉本冬輝氏

Microsoft 365の真価

小林:
コロナ禍をきっかけにワークスタイルが一変し、リモート業務を前提とした変革が各所で進んできましたが、Autopilotもその象徴的な技術だと思います。加えて端末管理のあるべき姿も過渡期にあるものと私は感じています。

中森氏:
モダンマネジメントを実現するうえで中核となるソリューションがMicrosoft Intuneです。拠点数の多い企業の場合、散在するデバイスの管理は非常に負荷が高い状態です。加えて、中堅中小企業でも業務端末として個人端末の利用を認めるBYOD環境は増加傾向にあります。PC端末では認めていないものの、スマートフォンにおいては混在を認めているといった企業も少なくないのではないでしょうか。このような環境では、アプリケーションやデータ領域、アクセス権等の制御が何よりも重要となります。そうしたニーズに応え、効率的かつ適正な端末管理を実現できるのがMicrosoft Intuneなのです。

※Microsoft Intuneを活用するためにはMicrosoft 365の契約が必要となります。

小林:
例えば中小企業のお客様で考えた場合、どのように契約内容を選定するべきなのでしょうか?

中森氏:
マイクロソフトのクラウドは提供しているサービス領域が多岐に渡ります。お客様の要望条件、既存契約状況によっても変わってきますので、詳しい内容についてはパートナー企業の皆様と協議していただきたいと思います。

コロナ禍ではTeamsが多くのお客様環境で採用いただくことになりましたが、その後も資料を作成して、メールで共有して……など多くの業務をより生産的に進めるという意図から、活用範囲を広げてSuite製品での契約に変更いただくという流れが非常に増えて参りました。中小企業層においてもスモールスタート導入し、最終的にIntune活用も可能なBusiness Premiumを選択いただくお客様が非常に増えてきております。

多くのソリューションが提供されている中で、コラボレーションツールはA社製、デバイス管理はB社製、オフィススイートはMicrosoft 365みたいに個別最適を進めると費用も管理工数も膨れ上がることになります。もちろん、製品の選定検討作業もかなり負荷がかかるタスクです。

しかしMicrosoft 365 Business Premiumであれば、1ユーザー月3,000円ほどでマイクロソフト管理センターという単一ダッシュボードで管理を完結できます。

Business Premiumにはセキュリティ対策機能として、Microsoft Defenderも盛り込まれています。統合スイートとして提供されているBusiness Premiumの圧倒的なコストパフォーマンスについて、引き続き訴求を進めていきたいと考えています。

小林:
お話を聞いていて再確認したのですが、意外と普段使っているツールの多くがすでにクラウド化していますよね。Windows 11だからこそ実現できるという部分も含めて、より理想的なビジネスPCの運用管理に一歩ずつ近づいているイメージがありますね。

  • 株式会社マイナビ TECH+編集長 小林 行雄

  • 日本マイクロソフト株式会社 パートナー事業本部 コーポレートソリューション営業統括本部
    チャネルセールスマネージャー 中森 勇樹氏

Surfaceだからできる4つのこと

小林:
先ほどSurfaceのお話が出ましたが、Windows 11移行のタイミングでSurface導入を検討する人は多いのではないでしょうか?

涌井氏:
SurfaceとMicrosoft 365、Intuneを組み合わせることによるメリットは大きく分けて4つあります。

  1. Intune機能「デバイス ファームウェア構成インターフェース(DFCI)」
    Intune側から書き込むPCのファームウェアをリモートで管理するための仕組みです。これまではPC のBIOS や UEFI のレベルでBluetoothの無効化が必要になった際に、一台一台箱から出してBIOSや UEFI のセットアップを行わなければなりませんでした。DFCIならば、Intuneの画面上からBluetoothを無効にする設定をしておくことで、自動的に無効化にできます。DFCIに対応したPCとAutopilot展開が必須条件になりますが、現在、Surfaceはすべてのモデルのファームウェア (UEFI) が DFCI に対応していますので、キッティングの手間が軽減できます。
  2. Intune機能「Surface 管理ポータル」
    Intune 内に用意されたSurface 専用のポータルで、シリアル番号やモデルはもちろん、保証期間からIntuneのコンプライアンスポリシーに準拠しているかどうかまで一元管理を実現します。また、炭素排出量を可視化することも可能です。
  3. Windows Autopilotへのハードウェア ID登録作業の効率化
    Autopilotを実施するためにはハードウェア ID(ハードウェアハッシュ)と呼ばれる情報を登録する必要があります。Surfaceであれば専用のWebページから申請すると、Intuneでインポートして、Autopilotに登録するためのハードウェア IDのリストを無償で入手可能です。加えてマイクロソフトによるハードウェア IDの Autopilot 登録代行も無償で利用できます。
  4. Microsoft 365 Appsの標準搭載
    仮にMicrosoft 365が入っていないと、Autopilotで展開した後にOfficeアプリケーションをIntuneで配らないといけません。SurfaceにはMicrosoft 365 Appsが未認証状態で入っているので、展開時にAutopilotで入力されている資格情報でアクティベートされます。1台1台インストールする時間や負荷も省けるため、ネットワークがひっ迫する心配もありません。Surfaceの電源を入れて、最短9分でAutopilotの展開を完了できます。

小林:
Surface はAutopilot展開やIntuneのメリットを最大限に引き出せるのですね。そのほか、セキュリティ的な観点で特長はありますか?

涌井氏:
Surfaceのセキュリティ哲学として「Chip to Cloud」という言葉があります。実はSurfaceのファームウェアはすべて自社で開発をしていて、サードベンダーさんの製品を使用していないのです。どう作られているのか、どう実装されているのかまですべてクリアになっているため、セキュリティの脆弱性にも迅速に対応できます。

さらに起動時に改ざんされてないか、正規のコードが実行されるかを調査するセキュリティ機構も備えていて、ハードウェアチップからWindowsとOSのセキュリティ、そしてMicrosoft 365などのクラウド セキュリティまで、すべてマイクロソフト1社で担保しているという強みがあります。

Microsoft製品群とネットワールドの支援で来たるAI時代に万全な備えを

小林:
ネットワールド様の展開されている導入支援サービスは、ディストリビューターにとして大きな強みになってくるのではないでしょうか。

吉本氏:
そうですね、当社は技術エンジニアが社員の四分の一を占めており、製品提供だけではなく、技術ノウハウを活かして支援サービスを展開する 「ソリューション・ディストリビューター」を標榜しています。

単なる作業代行ではなく、パートナー企業の皆様が新たなサービス提供準備を進めるお手伝いをさせていただく、これこそが我々の導入支援サービスの主眼になっています。

中森氏:
システム部門の人手が足りない、でもWindows 11への移行準備は進めないといけない、端末選定も、動作検証も……、そうした課題を抱える企業も多いと思いますが、信頼できるパートナー企業に任せてしまうということも一つの選択肢ではないでしょうか。すべての企業が出遅れることなく、AI時代に最大限に集中できるPC+クラウド環境を実現し、次世代に備えてほしいですね。

小林:
マイクロソフトはまさにCopilotを通じてAI PCを定義しましたよね。AIに備えるということが起爆剤になる可能性もありそうです。

中森氏:
私は不可逆的なソリューションの幕開けかなと思っています。生成AIは、携帯電話やスマートフォン、家電の三種の神器などに匹敵する革命ですし、触れるためにはやはりデバイスが必要です。AIに任せられるものは任せてROIを上げていく、そうした新時代を皆様と力を合わせて切り拓いていきたいですね。

涌井氏:
多くの人がマイクロソフト製品をご活用いただいているということをふまえ、責任は非常に重いものとして捉えています。影響力はそれだけ大きいということなので、そのぶん多くの方が幸福になれるような製品をこれからも絶えず投下していく、そんな使命感に駆られています。

吉本氏:
Windows 11への移行はなかなか腰が重いものだと思いますが、次世代を見据えた最適な端末管理環境を整えるチャンスでもあります。そのチャンスを掴むためにも、できるだけ早い移行準備が必要だと考えております。Autopilot での移行方法について、また当社が提供する支援サービスについて、詳細をご紹介する場として、2024年6月13日(木)14:00 ~ 15:00にウェビナーの開催を予定しております。ぜひお気軽にご相談ください。

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